私たちの体の中では、驚くべきことに毎日数多くのがん細胞が生まれています。本来、体内の「免疫監視機構」という防衛システムがこれらを退治してくれますが、この仕組みも決して万能ではありません。がん細胞はもともと自分自身の正常な細胞が変化したものなので、免疫細胞が異物として認識しにくいという性質を持っているからです。こうして攻撃を巧みにかわした、たった一つの細胞から長い物語が始まります。
がん細胞は分裂を繰り返しながら、倍々ゲームのようにその数を増やしていきます。細胞一つの大きさは約10マイクロメートル、つまり100万分の1メートルという極小サイズです。これが診断可能な1センチ程度の大きさに成長するためには、約30回の分裂を経て10億個もの細胞が集まる必要があります。専門家によれば、この段階に到達するまでには、実は10年から30年という非常に長い年月を要すると考えられています。
2019年09月18日時点で、がんの専門医であっても5ミリ程度のがんを発見するのは至難の業だと言われています。多くのがんは、20年近い歳月をかけてようやく1センチほどの大きさに成長し、ようやく現代の医療機器で診断できるレベルに達するのです。しかし、ここからが本当の勝負どころとなります。一度1センチを超えたがんは、そこからの増殖スピードが劇的に加速して見えるという不思議な性質を持っています。
わずか2年で体積は8倍に!定期検診が命を救う論理的な理由
1センチのがんが2センチになるまでには、計算上わずか3回の分裂で済みます。1辺が2倍になれば体積は8倍に膨れ上がるため、それまで20年かかっていた成長が、わずか2年足らずで完了してしまうのです。進行の速いタイプであれば、1年でそのサイズに達することもあります。SNS上でも「そんなに急に大きくなるのか」「20年も潜伏しているなんて驚きだ」といった、増殖スピードの差に対する驚きの声が目立ちます。
ここで重要なのは、2センチ以下の段階で見つけることができれば、どの臓器のがんであってもほとんどの場合で完治が可能だという事実です。私自身、自らの超音波検査で14ミリの膀胱がんを発見しましたが、早期であれば恐れることはありません。しかし、1センチから2センチ程度のがんは自覚症状が全くと言っていいほど現れないため、自分自身の感覚だけに頼るのは非常に危険なギャンブルと言えるでしょう。
だからこそ、がんの種類に応じた適切な間隔での検診が不可欠になります。例えば、肺がんであれば毎年、乳がんであれば2年ごとといった指針には、この細胞分裂の速度に基づいた明確な根拠があるのです。私は、検診を「面倒な行事」ではなく「数十年かけて育ったリスクを摘み取る絶好のチャンス」と捉えるべきだと考えます。科学的な裏付けを知ることで、検診への向き合い方も変わるはずです。
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