広島を拠点に世界を股に掛ける自動車部品メーカー、ヒロテックが新たな挑戦に打って出ます。同社は2019年09月19日、アメリカ合衆国に自動車部品の製造工場を新設することを発表しました。これまで同国では生産設備の工場を展開していましたが、部品そのものを製造する拠点を構えるのは今回が初めての試みとなります。SNS上では「広島の技術が世界に認められている」「日本のものづくり企業が海外で勝負する姿は頼もしい」といった、期待に満ちた声が数多く上がっています。
新工場の舞台となるのは、アメリカ南部のテネシー州です。約13万7000平方メートルという広大な敷地に、2021年の稼働を目指して建設が進められます。ここで生産されるのは、エンジンの消音や排気ガスの浄化を担う「排気装置」です。排気装置とは、環境負荷を抑えつつ車の走行性能を支える非常に重要なユニットであり、高度な加工技術が求められます。約48億円という巨額の投資を行い、年間15万個の生産能力を確保することで、北米市場でのプレゼンスを確固たるものにする狙いがあるのでしょう。
今回の戦略の鍵を握るのは、同じく2021年にアラバマ州で完成車生産を開始するマツダの動向です。マツダはトヨタ自動車とタッグを組み、北米での生産体制を強化しようとしています。ヒロテックはこの新工場でつくられる車両への部品納入を目標に掲げており、実現すれば約90億円の売上を見込んでいます。地元広島で長年培ってきたマツダとの信頼関係を、海の向こうアメリカの地でも再現しようとするこの動きは、まさに地方企業のグローバル化を象徴する素晴らしいモデルケースと言えるはずです。
ヒロテックの快進撃はアメリカだけに留まりません。同社はインドにおいても、約13億円を投じて排気装置の新工場を2020年に稼働させる計画を進めています。現地で圧倒的なシェアを誇るスズキへの供給を目指しており、新興国市場の爆発的な需要を取り込む姿勢を鮮明にしています。2018年12月期の売上高が1751億円に達した同社ですが、中国やメキシコを含む既存の海外10拠点に加えて、これらの新設拠点が加わることで、その成長スピードはさらに加速することでしょう。
編集者の視点から見れば、今回の投資は単なる規模拡大以上の意味を持っています。厳しい環境規制が求められる現代において、排気系部品の技術力はメーカーの生命線です。ヒロテックがマツダの北米戦略に足並みを揃えることで、輸送コストの削減だけでなく、開発段階からの深い連携が可能になります。自らの強みを理解し、パートナーの成長にコミットする同社の姿勢は、変化の激しい自動車業界を生き抜くための正解の一つではないでしょうか。今後の動向から目が離せそうにありません。
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