登山ブームが加熱する2019年、山を愛する人々にとって心強い味方が登場しました。福岡市の企業「AUTHENTIC JAPAN」が2016年から提供を開始した、会員制捜索ヘリサービス「ココヘリ」が今、救助現場で凄まじい成果を上げています。警察庁の発表によれば、2018年の山岳遭難件数は2,661件に達し、統計開始以来、過去最悪の数字を記録しました。こうした危機的な状況下で、上空から遭難者をピンポイントで特定するこの新技術が、生存率を左右する「スピード解決」の鍵を握っているのです。
「ココヘリ」の仕組みは非常にシンプルかつ画期的です。登山者は、縦6センチ、横4センチという手のひらサイズの発信機型会員証を携帯します。この端末から発せられる独自の電波を、救助ヘリに搭載された親機がキャッチすることで、半径約5キロという広大なエリアからでも正確な居場所を割り出すことが可能です。スマートフォンのGPS(衛星測位システム)とは異なり、山間部特有の「圏外」に左右されない点が最大の特徴でしょう。まさに、テクノロジーが自然の壁を乗り越えた瞬間と言えるのではないでしょうか。
SNS上では「お守り代わりに持っておくべき」「年会費で命が買えるなら安いものだ」といった声が相次いでいます。特に、実際に登山を楽しむ層からは、従来の目視による捜索の限界を知っているだけに、この確実性の高さに対して大きな期待が寄せられているようです。デジタルネイティブな世代だけでなく、ベテラン登山者の間でも、自身の安全を担保するエチケットとして「発信機の携帯」が常識になりつつあります。こうしたコミュニティでの意識変化は、今後の遭難対策において非常にポジティブな動きだと私は確信しています。
富山県警も驚愕!北アルプスでの劇的な救助劇
このサービスの威力が証明された決定的な事例が、2019年08月01日に富山県黒部市の清水岳で発生しました。静岡県富士宮市から訪れていた70代の夫婦が遭難し、富山県警のヘリが約1時間にわたって上空からの目視捜索を敢行しましたが、発見には至りませんでした。木々が鬱蒼と生い茂る山中では、人間の目による捜索には物理的な限界が伴います。しかし、事態は翌日の2019年08月02日に急展開を迎えます。家族への確認により、夫婦がココヘリの会員であることが判明したのです。
県警はすぐさま専用の親機をヘリに持ち込み、再捜索を開始しました。すると、前日の苦労が嘘のように、わずか15分という短時間で夫婦の居場所を特定し、無事に救出することに成功したのです。これには、百戦錬磨の富山県警山岳警備隊も驚きを隠せなかったといいます。熟練者の経験や勘も大切ですが、命に関わる現場では、こうした科学的な裏付けを持つ機器の導入こそが、一刻を争う救助活動の質を劇的に向上させるのだと痛感させられるエピソードです。
現在、このココヘリは試験運用を含め、既に30以上の都道県で警察や消防が導入を進めています。会員数は全国で約2万5千人に達しており、この1年間だけでも20件以上の救助実績があるというから驚きです。私は、こうした民間サービスと行政の連携こそが、これからの日本の登山文化を支えるインフラになると考えています。山を楽しむ権利には、自らの位置を知らせる責任も伴うべきでしょう。誰もが安心して山に登り、笑顔で帰宅できる未来のために、この小さな発信機が果たす役割は計り知れません。
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