プラスチック成形の大手として知られる三光合成が、製造現場のあり方を劇的に変える一歩を踏み出しました。2019年09月19日、同社は自社製品の異物検査工程に人工知能(AI)を本格導入することを発表しました。これまで熟練の作業員が目視で行っていた過酷な検査業務を自動化することで、なんと5割もの省力化を実現する計画です。単なるコスト削減にとどまらず、浮いた人員を設計などの高付加価値部門へシフトさせるという、攻めの姿勢が注目を集めています。
SNS上では「AIが仕事を奪うのではなく、より創造的な仕事へ人間を導く好例だ」といった前向きな反応が目立ちます。特に、0.1ミリという極微細なホコリを見逃さないAIの精度に対しては、技術者からも驚きの声が上がっているようです。今回のプロジェクトは台湾のIT企業との共同開発によって進められており、富山県南砺市にある本社工場のラインから先行導入が開始されました。機械学習という、大量のデータからAIが自ら特徴を学び取る技術を駆使し、不良品の選別精度を飛躍的に高めています。
驚くべきことに、AI導入後のテスト運用では、これまで稀に発生していた不良品の流出が「ゼロ」になったといいます。人の目では限界があった微細な異物混入も、カメラとAIのコンビネーションなら瞬時に、かつ正確に見極めることが可能です。今後は数年をかけて、国内外に展開する16の拠点へこのシステムを順次拡大していく予定です。これは、属人的な技術に頼りがちだった検査工程を標準化し、世界中どこでも高品質な製品を提供できる体制を整えることを意味しています。
人手不足をチャンスに変える!「設計100人体制」への挑戦
三光合成の黒田健宗社長は、2400人を超える従業員を抱える中で「慢性的な人手不足」を経営の最重要課題と位置づけてきました。各工場で10名ほどが従事していた検査作業をAIに任せることで、彼らを製造現場や設計部門へと再配置する方針です。単なる異動ではなく、充実した研修を通じて、人間にしかできない高度な「作図作業(ドラフティング)」を習得させるという点が、この戦略の非常にユニークで温かい部分ではないでしょうか。
現在60名ほどである設計担当者を100名体制にまで拡充する背景には、自動車業界を襲う「100年に一度の変革」があります。電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)の普及に伴い、エンジン周りだけでなくモーター駆動系など、プラスチック部品に求められるニーズは複雑化する一方です。自動車メーカー側でも設計業務が飽和状態にあり、三光合成はそこを好機と捉えています。部品を作るだけでなく、設計から提案できるパートナーとしての地位を狙っているのです。
私自身の見解としても、この「AIと人の役割分担」は、日本の製造業が生き残るための理想的なモデルケースだと感じます。単純な反復作業はテクノロジーに任せ、人間はよりクリエイティブな設計やサービス向上に注力する。こうした構造改革により、2020年05月期の連結決算では売上高580億円、営業利益率の向上も見込まれています。技術への投資が、そのまま従業員のスキルアップと企業の収益力強化につながるという、素晴らしい循環が始まろうとしています。
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