国内の金市場がかつてない熱気に包まれています。2019年09月20日現在、金の価格は約40年ぶりという記録的な高値圏で推移しており、投資家の注目を集めています。通常であれば、価格が上昇したタイミングで利益を確定させるために売却へと動くのがこれまでの定石でした。しかし、足元の個人投資家たちはこれまでの常識とは異なる動きを見せており、高値であっても手放さないという「守り」の姿勢を強めているのが非常に印象的です。
こうした状況を象徴するように、三菱マテリアルが提供する「純金積立」の新規加入者数が、2019年06月から2019年08月までの期間で前年同期比の約2倍にまで膨れ上がっています。純金積立とは、毎月決まった金額で少しずつ金を購入し続ける投資手法のことで、価格変動のリスクを分散できる「ドル・コスト平均法」が働きます。SNS上でも「今から始めるのは遅いかと思っていたけれど、将来のために申し込んだ」といった、資産形成に前向きな声が数多く寄せられています。
消費増税の「差益」と老後不安が投資家を突き動かす背景
投資家たちが売却を急がない背景には、2019年10月01日に控えた消費税率の引き上げが深く関わっています。金を購入する際には消費税がかかりますが、売却する際にも当時の税率分が価格に乗せられて戻ってきます。つまり、増税前に購入して増税後に売却すれば、税率の差分である2%分がそのまま利益、いわゆる「消費税差益」となる仕組みです。この賢い選択を狙う動きが、現在の買い支えの一因となっているのは間違いありません。
また、昨今話題となっている「老後2,000万円問題」に端を発した、将来の生活資金に対する根強い不安も無視できない要素でしょう。金は「有事の金」と呼ばれるように、世界情勢が不安定な時ほど価値が認められる実物資産です。インフレで現金の価値が目減りすることへの対策として、単なる投機目的ではなく、長期間保有して家族や自分の未来を守るための「保険」として金を選ぶ人が増えているのです。私個人としても、この選択は非常に理にかなった守備固めだと感じます。
かつての金投資は一部の富裕層による資産運用のイメージが強かったものですが、現在は少額から始められる積立サービスの普及により、現役世代へと裾野が広がっています。市場が高値に沸くなか、一時的な利益に惑わされず、着実に「現物」を積み上げる個人投資家の姿からは、現代社会を生き抜くための強い意志が感じられます。増税を目前に控えた今、資産の一部を「形ある価値」に変えておくという潮流は、今後も加速していくに違いありません。
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