2019年09月20日、ついにラグビーワールドカップ(W杯)が幕を開けました。九州では福岡県、大分県、熊本県の3県で全10試合が開催されるとあって、各地の百貨店や商店街はかつてない熱気に包まれています。SNS上でも「街中がラグビー一色でワクワクする」「海外ファンの熱量がすごい」といった投稿が相次ぎ、記念すべき大会の始まりを祝福する声が溢れています。
福岡市天神エリアでは、16の商業施設が連携した「天神ユナイテッド」が英語のガイドチラシを制作しました。これは福岡空港から直接会場へ向かってしまう観光客に、天神の魅力を伝えるための戦略的な試みです。地元ならではの雑貨や飲食店を紹介することで、欧米からのファンに博多の街を回遊してもらう「きっかけ作り」に知恵を絞っており、地域の商機獲得への執念が伺えます。
三菱地所が運営するイムズ(福岡市)では、ラグビーをイメージした豪快なステーキメニューが登場し、パブリックビューイングも開催されています。また、ホテルオークラ福岡では公式スポンサーのハイネケンを楽しめる空間が提供されるなど、試合観戦の「場」が次々と生まれています。ラグビーに詳しくない人でも、お祭りムードの中で気軽に競技の魅力に触れられるのは、文化としての広がりを感じさせる素晴らしい取り組みでしょう。
大分市のトキハ本店では、2019年09月26日から「ジャパンフェア」がスタートします。倉敷産のバッグや京都の友禅染といった日本各地の逸品を揃え、さらに世界的な評価を受けた地元・大分産の日本酒やワインを充実させています。インバウンド(訪日外国人客)に対し、単なるスポーツ観戦に留まらない「日本ブランド」の奥深さを体験してもらう工夫は、地方創生の観点からも非常に意義深いと感じます。
知財の壁を越える「桜」の連携と1000億円の期待感
今回の大会において、地方経済総合研究所は九州への経済波及効果を1035億円と試算しています。しかし、その恩恵を享受するためには高いハードルも存在しました。「ラグビーワールドカップ」といった名称は、主催団体の知的財産として厳格に管理されているため、一般の小売店が自由にイベント名に使用することはできません。この商標権の制約は、地域振興を目指す現場にとって大きな課題となっていました。
こうした状況を打破したのが、日本ラグビーフットボール協会らが設立した「ラグビーまつりプロジェクト2019」です。商店街などが申請を行えば、日本代表の象徴である「桜」の共通マークをイベントで使用できるようになりました。天神ユナイテッドもこの枠組みを活用し、ルールを守りながらも街を挙げた盛り上げに成功しています。権利を守りつつ、地域の活気を最大化させる柔軟な仕組みは、今後の大型イベントのモデルケースとなるはずです。
熊本市の中心市街地では「ファンゾーン」が設置され、大型ビジョンでの試合中継やラグビー体験が行われています。商店街には出場国の国旗や選手の写真が誇らしげに掲げられ、選手と地域が一体となった光景が広がっています。競技の激しさとは裏腹に、ノーサイドの精神で世界を迎え入れる九州の姿は、多くの訪日客の心に刻まれることでしょう。この熱狂が一時的な流行に終わらず、地域の誇りとして根付くことを切に願います。
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