重慶が「中国のデトロイト」から「ロボットの聖地」へ!日系メーカーが仕掛ける逆転の産業戦略とは

かつて「中国のデトロイト」と称され、自動車産業の心臓部として君臨した内陸部の大都市・重慶がいま、大きな転換点を迎えています。2019年に入り、スズキの撤退やフォード、現代自動車といった外資系メーカーの不調が相次ぎ、街の経済には不透明感が漂っていました。代わって成長を支えたのは不動産投資でしたが、バブル崩壊を危惧する市政府は、再び「ものづくり」の原点に立ち返ろうとしています。この危機を打開すべく、重慶市は産業ロボットなどの先端技術を呼び込む「背水の陣」の戦略を打ち出しました。

こうした中、2019年9月28日に開催された「市長国際経済顧問団会議」には、日本を代表する企業トップが顔を揃えました。川崎重工業の金花芳則社長やファナックの稲葉善治会長をはじめ、三井物産や三井住友銀行の首脳陣も集結したのです。中国経済の減速が懸念される局面ですが、日本企業はあえて重慶での事業強化というアクセルを踏みました。SNS上では「米中対立の中で日本企業の存在感が際立っている」「製造業の自動化は中国でも避けて通れない道だ」と、この積極姿勢を注視する声が上がっています。

川崎重工業は、重慶の工場内に「用途開発センター」を新設しました。ここでは、人間の腕のように複雑な動きを再現する「多関節ロボット」の現地生産も開始されます。これは単なる機械の組み立てではなく、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)を駆使して、ロボットが活躍できる場面を劇的に広げるための拠点です。2019年9月27日の式典で、金花社長は重慶がスマート製造において世界トップレベルになると確信を示しました。最新技術が街の風景を塗り替えようとしています。

同様に、ファナックも2019年9月26日にテクニカルセンターを稼働させました。ここでは、最先端の製造システムを顧客に提案するコンサルティング的な役割も果たします。稲葉会長が語るように、中国には依然として巨大な成長のポテンシャルが眠っており、次なる需要の波を掴むための準備は整ったと言えるでしょう。日系ロボット大手がこれほどまでに重慶を重視するのは、単なる市場開拓だけが目的ではありません。そこには、中国の政治中枢との深い関わりも見え隠れしているのです。

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政治の要衝・重慶で見せる日系企業の「勝負勘」

重慶は習近平国家主席の側近である陳敏爾氏がトップを務める、中国政府にとって失敗が許されない最重要都市です。経済成長の「ダイナモ(発電機)」としての役割を期待されるこの地で、産業の立て直しに協力することは、中国政府に対する強力なメッセージとなります。不動産融資の比率を下げ、実体経済を強化しようとする市政府の「原点回帰」を、日本の技術力が支える形となっています。米国企業のトップが参加を見送る中で、日本企業の存在感はより一層際立っていると言えるでしょう。

私自身の見解としては、このタイミングでの重慶シフトは、極めて高度な「全方位外交」であると感じます。地政学的なリスクを考慮しつつも、製造業の自動化という世界的なメガトレンドを、政治の要衝である重慶で形にする戦略は合理的です。不動産バブルの懸念という逆風を、ロボット技術という「実需」でいかにプラスに変えていけるかが今後の鍵となるでしょう。日本企業の技術が、内陸部から中国全土の製造業をアップデートしていく未来は、決して遠い話ではないはずです。

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