ゼレンスキー大統領の誤算?ウクライナ疑惑が落とす影と東部紛争和平への険しき道

2019年10月04日、モスクワからの報告によれば、ウクライナのゼレンスキー大統領が描いていた平和へのシナリオが大きな揺らぎを見せています。トランプ米大統領がバイデン前副大統領に関する調査を求めて圧力をかけたという「ウクライナ疑惑」が、ウクライナ東部で続く親ロシア派武装勢力との紛争解決に暗い影を落としているためです。トランプ氏からの強力な支持を背景にロシアとの交渉を優位に進めるはずが、思わぬ逆風にさらされています。

ゼレンスキー氏は2019年10月01日、疑惑の鍵を握るトランプ氏の顧問弁護士、ジュリアーニ氏との接触を懸命に否定しました。「会ったことも電話したこともない」と強調する姿からは、連日アメリカで大きく報じられるこの問題によって、身動きが取れなくなっている焦燥感が伝わってきます。SNS上でも「新大統領の外交手腕が早くも試されている」「アメリカの内政に巻き込まれるのは不幸だ」といった、同情と不安が入り混じった声が相次いでいます。

対米関係の停滞は、2019年09月25日にニューヨークで開催された初の首脳会談でも浮き彫りとなりました。ゼレンスキー氏は東部紛争への強い支援を求めましたが、トランプ氏は「ロシアとの進展を続けてほしい」と述べるに留め、具体的な追加支援には一切触れませんでした。かつて軍事支援を一時凍結した経緯もあり、トランプ氏が抱くウクライナへの不信感は根深く、従来の「後ろ盾」としての機能が十分に果たされない懸念が広がっています。

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深まる疑惑と孤立するウクライナの苦悩

特に注目すべきは、トランプ氏が抱く「陰謀説」への傾倒でしょう。2016年の米大統領選におけるサイバー攻撃について、ロシアではなくウクライナが民主党のために実行したのではないかという疑念です。こうした背景から、アメリカ国内ではウクライナ支援への熱量が下がりかねない状況にあります。専門用語で言えば、これは「地政学的リスク」が極めて高い状態であり、一国の内政問題が周辺地域の安全保障を根底から揺るがしているといえます。

2019年05月に「東部紛争の終結」を公約に掲げて就任したゼレンスキー氏ですが、フランス、ドイツ、ロシアを交えた4カ国首脳会議の開催にようやく漕ぎ着けたものの、その前途は多難です。和平の鍵を握るはずのフランスやドイツもロシアとの関係改善を模索しており、ウクライナが望むような強硬な姿勢は期待薄です。孤独な闘いを強いられる中で、頼みの綱であったアメリカの関与も、疑惑の渦中でますます遠のくばかりです。

クリムキン前外相が指摘するように、もしアメリカ政界で「トラブルの元凶はウクライナだ」という認識が定着してしまえば、議会からの超党派による支持も失いかねません。私個人の見解としては、ゼレンスキー大統領は今、まさに「外交の迷路」に迷い込んでいると感じます。2020年秋の米大統領選を控え、アメリカの内政対立にこれ以上利用されないよう、いかにして独自の外交ルートを再構築できるかが、ウクライナの命運を分けるでしょう。

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