2019年10月05日、日本の産業競争力を強化する役割を担う官民ファンド、産業革新投資機構(JIC)が、ついに新たな一歩を踏み出すことになりました。菅原一秀経済産業相は、空席となっていた新社長のポストに、元みずほ証券社長の横尾敬介氏を起用することを正式に発表したのです。
前経営陣が総退陣するという異例の事態から、約10カ月という長い空白期間を経て、ようやく組織が再始動する形となりました。この決定に対し、SNS上では「ようやく動き出したか」という安堵の声がある一方で、「民間出身のトップでどこまで組織を立て直せるのか」といった、期待と不安が入り混じった反応が数多く見受けられます。
高額報酬騒動の爪痕と信頼回復への険しい道のり
JICがここまで長い停滞を余儀なくされた背景には、かつて世間を騒がせた高額報酬問題が影を落としています。そもそも官民ファンドとは、政府と民間企業が共同で出資し、次世代の産業を育成するためにリスクを取った投資を行う組織を指しますが、その運営方針や報酬体系を巡って経済産業省との対立が激化しました。
一度失われた信頼を取り戻すことは容易ではなく、横尾新社長には、まず組織の透明性を高めることが求められるでしょう。証券界の第一線で手腕を振るってきた同氏が、官と民の板挟みの中でどのようなリーダーシップを発揮するのか、市場関係者も固唾をのんで見守っています。
「民業圧迫」という批判をどう乗り越えるべきか
今後の大きな課題として、民間ベンチャーキャピタルなどの活動を妨げてしまう「民業圧迫」という根強い批判への対応も避けて通れません。これは、国旗を背負った巨大な資本が市場に介入することで、本来民間が担うべき投資機会を奪ってしまう懸念を指す言葉です。
私自身の考えを申し上げれば、JICは単に利益を追求するだけでなく、民間ではリスクが高すぎて手が出せないような、長期的な視点での先端技術支援に注力すべきではないでしょうか。2019年10月05日の発表は、単なる組織の復活ではなく、日本経済における官民連携の在り方を問い直す重要な契機となるはずです。
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