【徹底分析】日本郵政・かんぽ不正の闇に迫る!「営業目標優先」が生んだ構造的欠陥と民営化のジレンマ

東北地方の郵便局で、ある40代の局員が頭を抱えていました。医療保険を希望する60代の女性に対し、彼が提案できたのは月々1万円を超える高額なプランだけだったからです。女性は「そんなに高いなら」と、肩を落として店を後にしました。2019年08月07日現在、現場ではこうした光景が日常茶飯事となっています。政府の間接出資を受けるかんぽ生命は、民間の保険会社との公平な競争を維持するために「民業圧迫」を避けねばならず、新商品一つ出すのにも政府の認可という高い壁が存在しているのです。

現在のかんぽ生命の商品設計には、非常に厳しい制約が課せられています。例えば、手頃な医療保険を提供したくても、必ず死亡保障とセットにしなければならないというルールがあるのです。具体的には、死亡保険金100万円につき入院日額1500円までという上限が定められており、他社に比べて魅力に乏しいのが実情でしょう。SNS上では「郵便局だから安心だと思ったのに、中身と価格が合っていない」という落胆の声も散見されます。こうした売りにくい商品に重いノルマが課されたことが、今回の不適切販売を招いた一因と言えます。

この状況を打破するための鍵は、親会社である日本郵政による株式の保有比率にあります。現在の64%から50%以下に引き下げられるタイミングが、規制緩和の目安とされてきました。しかし、2005年に成立した郵政民営化法で定められた「2017年09月までの全株売却」という目標は、2012年の法改正により大幅に後退してしまいました。期限が消滅し、早期売却が単なる「努力義務」に変わったことで、民営化への道のりは遠のいた印象を拭い去ることができません。

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「赤字局より低い評価」現場に蔓延する歪んだ評価制度

「しっかり黒字を出しているのに、なぜ評価が低いのか」。勤続20年以上のベテラン局長は、日本郵便から届いた「D判定」という通知に愕然としています。彼の郵便局は窓口手数料などで年間数百万円の利益を上げており、郵便需要が落ち込む中で健闘している部類に入ります。しかし、現在の評価システムは損益よりも保険や年金の「営業目標」の達成度を重視する仕組みです。その結果、健全経営を維持している局長が、目標未達という理由で赤字局の局長より低く評価される逆転現象が起きているのです。

こうした歪みが生じる背景には、2万4千もの拠点網を維持しなければならない「ユニバーサルサービス」という使命があります。これは、郵便や貯金、保険といった公共性の高いサービスを全国どこでも一律に提供することを義務付ける制度です。不適切販売が社会問題化する中でも、政治家や組織の利害関係から、郵便局の統廃合や合理化は「タブー」として扱われてきました。民間企業なら当然行われるはずのコスト削減や拠点整理が進まないまま、現場には一律に重い負荷がのしかかり続けています。

政府は2019年04月、復興財源の確保を目的に日本郵政株の追加売却を発表しました。しかし、2019年08月06日時点の株価は1035円と、目標とする1130円台を大きく下回っています。証券業界からは「不祥事の影響で減配の恐れがある株を顧客には勧められない」といった冷ややかな意見が漏れており、市場の信頼は失墜したと言わざるを得ません。現場の焦りと構造的な硬直化が生んだ今回の問題は、日本の郵政事業が抱える民営化の矛盾を浮き彫りにした歴史的な分岐点となるでしょう。

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