日本の景色が、静かに、しかし確実に形を変えようとしています。2019年09月11日、私たちの生活を支える公共サービスの在り方が、深刻な人口減少を背景に大きな転換点を迎えていることが浮き彫りになりました。これまで当たり前だと思っていた「日本中どこでも同じサービスが受けられる」という全国一律のモデルが、今や維持困難な限界に達しているのです。
SNS上では「過疎地のインフラ維持に多額の税金やコストをかけるのは不公平だ」というシビアな意見がある一方で、「自分が地方に移住したときにライフラインが切られたら困る」といった不安の声も渦巻いています。私たちは今、コストと利便性の天秤をどう取るべきか、国民一人ひとりが当事者として向き合わなければならない局面に立たされていると言えるでしょう。
たった2件のために6千万円?固定電話を守る「ユニバーサルサービス」の限界
象徴的な事例が、沖縄県石垣島の東に位置する小さな島で起きました。2015年、猛烈な台風によって海底ケーブルが断線した際、NTT西日本は長崎県から専用船を派遣し、半年もの歳月を費やして復旧作業に当たりました。驚くべきは、その島で固定電話を利用しているのはわずか2回線のみだったという事実です。この維持のために投じられた費用は、なんと5千万〜6千万円にものぼります。
ここで重要なキーワードとなるのが「ユニバーサルサービス」です。これは、日常生活に欠かせない通信や郵便などの公共サービスを、利用料金の安さや居住地域に関わらず、日本全国どこでも公平かつ安定的に提供することを義務付ける仕組みを指します。しかし、キツツキによる損傷や積雪、落雷など、自然環境の厳しい山間部や離島での網維持は、今やNTT東西の収益を年間360億円もの赤字に追い込む重荷となっているのです。
この赤字を補填するため、実は私たちが支払う携帯電話料金には「ユニバーサルサービス料」として月々数円が上乗せされています。つまり、都市部の利用者が地方の通信インフラを支える構図ですが、経済合理性を無視した維持には限界が見えています。政府は2020年の通常国会に向け、過疎地では有線にこだわらず「無線(携帯電話の電波)」での代替を認める法改正を目指しており、ようやく時代に即した柔軟な運用が始まろうとしています。
「水道代14%値上げ」が示す現実と、コンパクトシティーへの期待
変化の波は通信だけではありません。2019年09月11日現在の動きとして、総務省は日本郵便が求めていた「土曜配達の廃止」を容認する方針を固めました。また、私たちの命に直結する水道事業も岐路に立っています。静岡市では、老朽化した膨大な水道管を更新するため、2020年04月から水道料金を平均14.8%も引き上げる決断を下しました。生活に不可欠な水だからこそ、その代償は家計に直接響くことになります。
こうした状況に対して、東京大学の松村敏弘教授は「全国一律・低廉な料金」という神話を見直すべきだと提言しています。地域の実情に合わせて、高齢者の見守りに不可欠な光回線は優先的に整備し、その他のサービスについてはある程度の質低下を許容するといった「選択と集中」が必要だという考え方です。すべてを100点満点で維持しようとすれば、システムそのものが崩壊してしまう懸念があるため、この意見には非常に説得力を感じます。
そこで注目されているのが、公共施設や住宅を中心部に集約させる「コンパクトシティー」構想です。居住エリアを限定することで、インフラ維持の効率を劇的に高めることができます。「一軒でも家があれば管を引く」という行政の使命感は尊いものですが、持続可能な未来を描くためには、今ある姿を絶対視しない柔軟な発想が欠かせません。私たちが豊かな暮らしを続けるために、何を優先し何を諦めるのか。その「再設計」の時間は、もう残り少なくなっています。
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