日本のビジネス界に、今まさに熱い風が吹き抜けています。一般財団法人ベンチャーエンタープライズセンター(VEC)が2019年08月16日に発表した速報値によれば、2018年度の国内ベンチャーキャピタルによる投資額は、前年度比20%増の1640億円という驚異的な数字を記録しました。これで投資額の増加は6年連続となり、スタートアップを取り巻く環境はかつてないほどの盛り上がりを見せているのです。
そもそもベンチャーキャピタル(VC)とは、高い成長が見込まれる未上場の新興企業に出資を行い、経営支援などを通じて企業の価値を高める投資専門会社を指します。SNS上では、この投資拡大のニュースに対し「日本からもユニコーン企業が次々と誕生するのではないか」といった期待の声や、「若手起業家にとって最高の挑戦環境が整いつつある」といった前向きな反響が数多く寄せられており、注目度の高さが伺えるでしょう。
今回の調査は2019年08月08日までに回答のあった112社のデータを集計したもので、2019年11月に予定されている確定値の公表では、さらに数字が上振れする可能性も秘めています。低金利という金融情勢が続く中で、より高いリターンを求める「リスクマネー」が新興企業へと流入していることが、この活況の大きな要因と言えるでしょう。潤沢な資金は、スタートアップの迅速な事業拡大を強力にバックアップしています。
投資がここまで伸びている背景には、大企業が外部の技術を取り入れる「オープンイノベーション」という手法が一般的になったことが挙げられます。自社だけで全てを開発するのではなく、革新的なアイデアを持つ新興企業と手を組むこの流れは、現代のスピード感ある経営には欠かせません。こうした民間企業の活発な動きが、投資を呼び込む良質な循環を生み出していると私は分析しております。
さらに、日本政府による強力なバックアップ体制も見逃せません。VECの市川隆治理事長も指摘するように、税制優遇や補助金制度に加え、世界へ羽ばたく有望株を選定する「J-Startup(Jスタートアップ)」プロジェクトといった政策が、追い風を吹かせています。官民が一体となって日本のイノベーションを推進しようとする姿勢が、投資家の安心感と積極的な投資意欲を醸成しているのではないでしょうか。
2018年度の投資件数は1388件に達し、前年度から3%ほど増加しました。投資先のジャンルに注目すると、IT関連が全体の53.6%と過半数を占めており、依然としてデジタル領域が主戦場であることが分かります。その一方で、医療やバイオ、ヘルスケアといった、人々の命や健康に直結する分野や、独自の製品・サービスを展開する企業への出資比率も着実に高まりを見せています。
資金調達が容易になったことで、スタートアップ企業は優秀な人材の確保や最先端の設備投資を積極的に行えるようになりました。これは日本の産業競争力を高める上で、非常に喜ばしい傾向だと言えます。私個人の見解としては、単なるブームに終わらせるのではなく、これらの資金がしっかりと実社会に価値をもたらすプロダクトの開発に繋がっていくことを切に願ってやみません。
2019年度の展望と注意すべき懸念材料
2019年度に関しても、オープンイノベーションの流れは止まらず、引き続き旺盛な投資が続くと予測されています。しかし、手放しでの楽観視は禁物かもしれません。投資熱が過熱するあまり、一部の企業では実際の収益力に見合わないほど「企業価値」が吊り上がっているケースも見受けられます。バブルのような状態に陥っていないか、投資家側も起業家側も冷静な視点を持つことが重要でしょう。
加えて、米中間の貿易摩擦といった国際情勢の不安定化も、大きなリスク要因として存在しています。世界経済に暗雲が立ち込めれば、これまで活発だった投資心理が急激に冷え込む恐れも否定できません。変化の激しい時代だからこそ、目先の資金調達額に一喜一憂するのではなく、持続可能なビジネスモデルを構築できるかどうかが、今後のスタートアップ界の真の課題となるでしょう。
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