2019年10月12日から13日にかけて東日本を広範囲に襲った台風19号は、北関東3県の経済界に深刻な傷跡を残しました。茨城県の水戸市を流れる那珂川や、栃木県佐野市の秋山川といった主要な河川で堤防の決壊や氾濫が相次ぎ、多くの命だけでなく地域を支えるビジネスの現場までもが濁流に飲み込まれたのです。現在、多くの小売店やメーカーが設備の浸水に見舞われ、懸命な復旧作業が続けられています。
SNS上では、変わり果てた街の様子や、泥にまみれた店舗の写真が拡散され、「いつも利用しているお店が信じられない」「一日も早い再建を願っています」といった悲痛な声と温かい励ましが溢れています。こうした応援は、絶望の淵に立たされた経営者やスタッフにとって大きな心の支えとなっていることでしょう。地域に根ざした大手ホームセンターも例外ではなく、その被害状況は目を覆いたくなるほど深刻なものとなっています。
茨城県を中心に展開する山新の渡里店では、那珂川の氾濫によって店舗が浸水し、営業停止を余儀なくされました。2019年10月16日現在、周辺の国道も冠水した影響で店舗へのアクセスすら困難な状況にあります。同社によれば、電気設備などの基幹インフラがダメージを受けており、営業再開の見通しは立っていないとのことです。一刻も早いインフラの復旧が、生活必需品を供給する店舗の再生には不可欠と言えます。
栃木県でも、カインズの大平店や栃木店が永野川の氾濫に巻き込まれ、商品が店外へ流出する事態となりました。社員の方々が泥をかき出す作業を懸命に進めていますが、復旧への道のりは非常に険しいようです。隣接するベイシア大平モール店も「店内はほぼ全滅」という厳しい状況に直面しています。こうした大規模店舗の休業は、地域の流通網に大きな穴を空けてしまうため、行政による早急な支援が求められるでしょう。
製造業や観光地を襲う未曾有の危機と再生への決意
製造業の現場でも、泥水との孤独な戦いが続いています。栃木県佐野市の第一酒造では、酒蔵が約50センチの浸水被害を受けました。建物内には深い泥が入り込み、歩くことさえままならない状態ですが、2019年10月14日には多くのボランティアが駆けつけました。島田社長は、タンクの中の酒が無事であったことに希望を見出し、事業再開への強い意欲を語っています。伝統の味を守ろうとするその姿勢には、胸を打たれるものがあります。
また、足利市の毛野東部工業団地一帯も冠水し、自動車関連企業などが打撃を受けました。鋼材販売を営む板橋製作所では、浸水により一部の機械が故障する被害が出ましたが、同業他社の経営者たちが応援に駆けつけるという、地域コミュニティの強い絆が垣間見えています。こうした「共助」の精神こそが、災害大国である日本において経済を立て直すための最大の原動力になると、私は確信しています。
一方で、北関東が誇る観光資源への影響も無視できません。群馬県の伊香保温泉では予約の約8割がキャンセルとなり、草津や水上の温泉地でも客足が遠のいています。あしかがフラワーパークも停電と浸水により、2019年10月18日までの中止を決定しました。こうした「二次被害」とも言える経済的損失を最小限に食い止めるためにも、私たちは正確な情報を発信し、復旧した場所から順次応援の気持ちを持って訪れるべきではないでしょうか。
コメント