2019年9月9日に房総半島を直撃した台風15号は、私たちの生活基盤であるエネルギー供給の脆さを浮き彫りにしました。特に深刻だったのは、車社会の生命線であるガソリンスタンド(給油所)の混乱です。千葉県南部では100カ所以上の給油所が停電によって営業停止に追い込まれ、開いている数少ない店舗には約4キロメートルに及ぶ気の遠くなるような大渋滞が発生しました。
SNS上でも「数時間待っても給油できない」「電気が止まるとポンプが動かないなんて盲点だった」といった悲鳴に近い声が次々と投稿され、災害時の燃料確保の難しさがリアルタイムで拡散されました。実は、業界全体で非常用発電機の設置を進めていたものの、2019年10月16日時点での普及率は全国でわずか1割強に留まっており、インフラの整備が自然災害の脅威に追いついていないのが実情です。
レジが動かない!現場を襲った想定外の「手書き」作業
驚くべきことに、自家発電機を備えていた店舗でさえも完全な営業は困難を極めました。非常用電源はあくまで給油ポンプを動かすための最小限の出力しかなく、店舗のレジを動かすまでの電力はまかなえなかったのです。このため、スタッフが一つひとつの取引を手作業で記帳するという、デジタル時代とは思えないアナログな対応を余儀なくされました。
お会計に時間がかかることでさらなる渋滞を招くという悪循環は、今後の大きな課題といえるでしょう。編集者としての意見ですが、私たちは「発電機があるから安心」と過信せず、決済システムを含めたトータルな防災設計が必要だと痛感します。2019年10月12日に上陸した台風19号では、事前のSNS呼びかけにより「満タン運動」が浸透し混乱は抑えられましたが、抜本的な解決には至っていません。
「復旧の迅速化」と「自給自足」が守る未来のエネルギー
これほどの異常気象が相次ぐ中、すべての設備を物理的に補強することには限界が見え始めています。そこで注目されているのが、早期復旧に特化した戦略です。例えば「分散型電源」と呼ばれる、特定の大型発電所に頼らず、各地に電力を分散して配置する仕組みが鍵を握ります。台風15号の際も、電気自動車(EV)が「動く蓄電池」として被災地で明かりを灯し、大きな希望となりました。
今後はドローンによる被害状況の把握や、発電機車の機動的な配備など、テクノロジーを駆使した対策が加速するでしょう。「自分の電気は自分で守る」という意識を持ち、家庭や企業が太陽光発電や蓄電池を導入する自律的な姿勢が、社会全体のレジリエンス(回復力)を高めるはずです。一刻も早いインフラのアップデートを期待するとともに、私たち一人ひとりの備えが試されています。
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