2019年10月01日、エネルギーの在り方が大きな転換点を迎えています。地球温暖化対策としての脱炭素化はもちろんですが、今注目すべきは「エネルギーの地産地消」という視点です。特に人口密度が低く、広大な土地を持つ地方こそ、再生可能エネルギーとの相性が抜群だといえるでしょう。地域で電気を作り、その場で消費する仕組みは、コスト面でも非常に理にかなっています。
SNS上では、大規模停電への不安から「自分たちのエネルギーを自分たちで守る」という意識が高まっており、自立型の電源確保を支持する声が目立ちます。千葉県で発生した長期間の停電などは、既存の巨大な送電網だけに頼るリスクを浮き彫りにしました。こうした背景から、特定の場所に縛られない太陽光や地熱といった「分散型電源」の重要性が、かつてないほどに増しているのです。
分散型電源とは、大規模な発電所に依存せず、消費地の近くに配置された小規模な発電設備を指します。地方は送電線の距離が長く、電力のロスや維持コストが課題でしたが、これを地産地消に切り替えることで、経済的かつ災害に強い「レジリエンス(復元力)」を備えた街づくりが可能になります。地震や台風などの自然災害が多い日本において、このしなやかな強さは必須の要素でしょう。
太陽光と地熱のベストミックスが生む安定供給
再生可能エネルギーの課題は天候による出力の変動ですが、これを解決するのが「地域の多様性」を活かした組み合わせです。日本全国に広がる太陽光発電に加え、北陸や東北に多い中小水力、そして世界第3位の資源量を誇る地熱発電を連携させることが鍵となります。これらを最適に組み合わせることで、24時間365日、安定した電力を供給する「ベストミックス」が実現するはずです。
また、電気だけでなく「熱」の活用も見逃せません。ドイツの「シュタットベルケ(自治体が運営する地域公社)」のように、発電時に出る熱を暖房などに利用するモデルは、寒冷地も多い日本で大きな可能性を秘めています。熱は遠くに運ぶのが難しいため、生産と消費が隣接する地方こそが、この熱電一体型サービスの主役になれるのです。これこそが、地域経済を循環させる新しいビジネスモデルといえます。
さらに、地方の移動手段として欠かせない自動車も、エネルギー戦略の重要な一部となります。現在、地方ではガソリンスタンドの減少や高齢化が課題となっていますが、そこで期待されるのが電気自動車(EV)の普及です。EVは単なる移動手段ではなく、大容量のバッテリーを備えた「動く蓄電池」として機能します。日中に太陽光で蓄電し、夜間にその電気を使うといった柔軟な運用が可能です。
マイクログリッドを支える最新テクノロジーの力
究極の目標は、地域内でエネルギーを完結させる「マイクログリッド(小規模電力網)」の構築です。既存の巨大システムをすぐに変えるのは難しいものの、新しい住宅地や施設の整備に合わせ、少しずつ地産地消のエリアを広げていくべきだと私は考えます。これを支えるのは、直流(DC)給電技術や、複数のシステムを連携させる「システム・オブ・システムズ(SoS)」という高度な制御技術です。
特に直流給電は、太陽光パネルが作る電気を変換ロスなくそのまま利用できるため、非常に効率的です。また、これら多種多様なエネルギーのやり取りを支えるのが「ブロックチェーン」技術です。改ざんが困難な分散型台帳を活用することで、人手を介さずに低コストで安全な電力取引の決済が可能になります。複雑なエネルギーシェアを自動化するこの技術は、未来のインフラに欠かせません。
金沢工業大学の白山麓キャンパスでは、2018年04月から、こうした50年後の未来を先取りした実証実験が始まっています。そこでは熱と電気、そしてモビリティーが高度に融合したコミュニティモデルが試されています。都市には都市の、地方には地方の強みを活かしたエネルギーの形があるはずです。「分散」をキーワードに、地域が自立して輝く未来を、今こそテクノロジーの力で切り拓きましょう。
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