静岡県が誇る「海の宝石」サクラエビが、かつてない不漁の荒波に揉まれています。2019年10月23日の秋漁解禁を目前に控え、漁業者の皆さんはこれまでの自主規制をさらに一歩進めた、極めて厳格な新ルールを導入することを決定いたしました。
SNS上では「サクラエビが食べられなくなるのは寂しい」「地元の宝を守ってほしい」といった切実な声が溢れています。今回の新基準は、駿河湾を3つのエリアに分け、エビの成長具合によって網を入れるか判断するという、全国でも類を見ない画期的な試みです。
「捕りつつ増やす」という困難な挑戦
静岡県桜えび漁業組合の実石正則組合長は、10月8日の会合で「好循環に向けた第一歩」と決意を語りました。新基準では、体長35ミリメートル以上の「1歳エビ(親エビ)」の割合を重視します。サクラエビは寿命が約15か月と短く、世代交代が非常に早い生き物です。
ここで重要になるのが「0歳エビ(稚エビ)」の保護です。来年の親になる赤ちゃんエビを逃がし、産卵を終えた親エビを賢く収穫する。この繊細なコントロールこそが、資源回復の鍵を握っています。現場では投網前に試験的に網を入れ、その場で比率を確認する高度な判断が求められます。
最新の調査では、2019年7月の推定卵数が326兆粒と、豊漁の目安を大きく上回る明るい兆しも見えてきました。しかし、産卵場所が湾の南側に偏っているという懸念もあり、手放しで喜べる状況ではありません。まさに「薄氷を踏む」ような緊張感が現場を包んでいます。
漁師たちの誇りと生活を守るために
2018年には史上初の全面休漁を経験し、2019年春の漁獲量も過去最低の85トンに留まりました。漁に出られない期間、ガソリンスタンドなどで副業をして食い繋ぐ漁師さんも少なくありません。共済による補填も収入の一部に過ぎず、生活は決して楽なものではないでしょう。
それでも彼らが海に向かうのは、駿河湾の豊かな恵みを次世代に繋ぎたいという、漁師としてのプライドがあるからです。科学的な原因解明が待たれる中、リスクを承知で「事実上の禁漁区」を設けるなど、自らの首を絞めるような厳しい規制を課す姿には敬意を表さずにはいられません。
編集部としては、この「守りの漁業」が報われることを切に願います。消費者の私たちにできることは、希少な一粒一粒を大切に味わい、持続可能な漁業を応援することではないでしょうか。10月19日からの資源調査を経て、23日にはいよいよ運命の初漁が始まります。
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