自分を認められない「インポスター症候群」とは?精神科医・大野裕氏が語る、心の呪縛を解く秘訣

精神科医の大野裕氏が、かつての留学先であるアメリカを訪れ、自身の原点を見つめ直しています。2019年10月14日、大野氏は認知行動療法の生みの親であるアーロン・ベック氏との再会を果たしました。この訪問は、ニューヨークを経由して思い出深いコーネル大学やペンシルベニア大学を巡る、感慨深い旅となったようです。当時の生活は決して楽なものではなく、限られた収入の中で家族と共に懸命に過ごした日々が、現在の彼の活動の根底にあるのでしょう。

かつての留学生活は、経済的な厳しさと隣り合わせだったと大野氏は振り返ります。マンハッタン郊外の病院やアパートは昔と変わらぬ姿で彼を迎えましたが、当時は勉強への強い使命感だけが彼を突き動かしていました。少しでも生活を支えるため、彼はある一冊の一般書を翻訳することを決意します。その本がテーマとしていたのが、現代社会でも多くの人が共感し、SNSでも「自分もそうだ」と話題になることの多い「インポスター症候群」という概念でした。

スポンサーリンク

成功を「運」だと思い込む心の罠

「インポスター」とは、英語で「詐欺師」を意味する言葉です。この症候群に陥ると、たとえ周囲から素晴らしい成果を認められても、それを自分の実力だとは信じることができません。成功を「たまたま運が良かっただけ」と過小評価してしまい、称賛を受けるほど「周りを騙しているのではないか」という不安に苛まれてしまうのです。SNSでは、完璧主義な人ほどこの傾向が強く、自己肯定感の低さに悩む声が多く寄せられています。

インポスター症候群の傾向がある方は、失敗したときには過度に自分を責める一方で、成功したときには自分を褒めることが苦手です。このような心の癖は、知らず知らずのうちに精神的な疲弊を招いてしまうでしょう。大野氏は、こうした苦しい心理状態から抜け出すためには、自分の注いできたエネルギーや努力を正当に評価することが不可欠であると説いています。自分を「詐欺師」だと思い込む呪縛から自由になる一歩は、事実をありのままに受け入れることから始まります。

大野氏自身、かつての困窮した生活の中で翻訳したその本に、誰よりも救われたと語っています。本自体の売り上げは期待したほどではありませんでしたが、そこに記された知恵は彼の心を豊かにし、精神科医としての視点をより深いものへと変えてくれました。他人の評価に怯えるのではなく、自分自身の歩みを自分で認めてあげることの大切さを、この記事は教えてくれます。あなたも、今日まで頑張ってきた自分に対して、少しだけ優しい眼差しを向けてみてはいかがでしょうか。

コメント

タイトルとURLをコピーしました