働く人々の生活を支える大切な節目である「春季労使交渉」、いわゆる春闘に向けた大きな動きがありました。2019年10月24日、日本最大の労働組合の中央組織である「連合」が、2020年春に向けた基本構想を公表したのです。今回の発表で最も注目すべき点は、大企業と中小企業の間にある賃金格差を埋めるために、昨年に引き続き「実額」を重視する姿勢を鮮明にしたことでしょう。
具体的には、基本給を一律に引き上げる「ベースアップ(ベア)」において、2%程度の水準を維持する方針が確認されました。ベースアップとは、年齢や勤続年数に応じて上がる定期昇給とは異なり、社員全員の給与水準そのものを底上げする仕組みのことです。このベアが実現するかどうかは、私たちの実質的な購買力や生活の質に直結するため、多くの労働者にとって非常に関心の高いトピックとなっています。
数値目標の明確化で目指す「賃金の底上げ」と格差是正
連合の神津里季生会長は、2019年10月24日の記者会見において、賃金の「底上げ」や「格差是正」という言葉の意味を改めて定義し直したと力説しました。曖昧なスローガンに留まらず、具体的な数値目標を整理することで、交渉の透明性と実効性を高める狙いがあるようです。SNS上でも「中小企業の給与が本当に上がるのか注視したい」といった期待の声や、「物価上昇に負けない昇給を」という切実な意見が飛び交っています。
基本構想の中では、最低賃金として時給1100円以上、さらには中堅層にあたる35歳相当のモデル賃金で時給1700円以上を目指す方針が明記されました。これは、非正規雇用で働く方々や若手社員の生活基盤を固めるための力強いメッセージと言えます。これほど具体的な金額が提示されたことで、経営側との議論もより具体的かつシビアなものへと発展していくことが予想されるでしょう。
編集者の視点から言えば、この「実額重視」へのシフトは、日本経済の停滞感を打破するための極めて重要な戦略だと感じます。これまでのパーセンテージによる要求では、元々の給与が高い大企業と、苦境に立たされる中小企業との差が広がるばかりでした。具体的な金額を積み上げる交渉が浸透すれば、日本の労働構造そのものがより健全な形へアップデートされる一歩になるのではないでしょうか。
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