2019年10月21日、熱気に包まれるフィリピンのマニラにて、一人の男性との素晴らしい出会いがありました。彼の名前はアティエンザ・デレックさん、31歳。かつて日本の技能実習制度を利用して海を渡った経験を持つ、志の高い青年です。彼は2011年から2014年までの3年間、三重県にある自動車部品工場で懸命に汗を流しました。当時の月収は20万円から25万円に達していたそうで、その地道な努力の積み重ねが現在の彼の基盤となっているのです。
技能実習制度とは、開発途上国の若者が日本の技術を学び、母国の経済発展に貢献する「人づくり」を目的とした国際協力の仕組みを指します。デレックさんは日本で得た貴重な蓄えを元手にして、現在は生徒数35人を抱える日本語塾を経営しています。SNS上では「これこそが制度の理想的な形だ」という称賛の声がある一方で、「彼のような成功例は氷山の一角ではないか」といった、現状の課題を冷静に見つめる意見も数多く寄せられています。
フィリピンの若者たちと対話を重ねていく中で、何よりも心に響くのは彼らが抱く深い家族愛でしょう。自らの夢を追うだけでなく、遠く離れた異国の地で働く原動力のすべては、大切な家族を支えたいという純粋な願いに集約されています。しかし、受け入れ側である日本が、彼らを単なる「安価な労働力」や「利益を生む道具」としてしか見ていないのであれば、真の意味での制度改善や多文化共生への道は、依然として険しいものになると言わざるを得ません。
私はデレックさんの活動を通じて、労働の対価が単なる金銭だけでなく、国を越えた「教育」や「絆」として循環することの尊さを再確認しました。彼らが日本での経験を誇りに思い、それを次世代に繋げている姿は、私たち日本人に「共生」の本質を問いかけています。数字上の人手不足解消だけを追い求めるのではなく、彼らの人生そのものに敬意を払う姿勢こそが、これからの国際社会において最も求められている重要なピースではないでしょうか。
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