中東の民主主義の要とも言えるイスラエルで、政治の枠組みを揺るがす大きな事態が発生しました。2019年9月17日に実施された総選挙を経て、政権維持を目指していたベンヤミン・ネタニヤフ首相が、2019年10月21日に組閣の断念を公式に表明したのです。長きにわたり同国の政治をリードしてきた「不沈艦」のような彼にとっても、今回の壁はあまりに高かったと言わざるを得ません。
今回の組閣断念の背景には、ネタニヤフ氏自身が抱える深刻な汚職疑惑が影を落としています。イスラエルにおける「組閣」とは、選挙で単独過半数を得る政党が少ないため、複数の政党が協力して議会の過半数を確保し、政府を組織することを指します。しかし、疑惑を抱えるリーダーとの協力を拒む勢力が多く、交渉は最後まで平行線をたどる結果となりました。
SNS上では、この劇的なニュースに対して「ついに時代が変わるのか」「いや、まだ粘るのではないか」といった予測が飛び交い、世界中のジャーナリストからも驚きの声が上がっています。リブリン大統領は今後、野党連合「青と白」を率いるベニー・ガンツ元軍参謀総長に組閣を要請する見通しです。軍のトップを歴任した実力者が、分断された議会をまとめ上げられるかに注目が集まっています。
筆者の個人的な見解としては、今回の動乱はイスラエル国民が「法と倫理」を再定義しようとしている過渡期のように感じられます。長年、ネタニヤフ氏は強固な安全保障政策で支持を集めてきましたが、リーダーとしての品格を問う声がそれを上回ったのでしょう。とはいえ、ガンツ氏による連立協議も一筋縄ではいかないはずであり、再選挙という最悪のシナリオも否定できません。
イスラエル政治の仕組みと今後の展望
今後の焦点は、リブリン大統領からバトンを渡されるガンツ氏の手腕に移ります。イスラエルの選挙制度は完全比例代表制を採用しているため、非常に多種多様な政党が議席を持ち、それらを一つにまとめるのは至難の業です。宗教政党や世俗派、右派と左派といった異なるイデオロギーの溝を埋めるには、よほどの譲歩と政治的センスが求められるでしょう。
2019年10月23日現在、カイロなどの周辺国もこの動静を注視しており、中東全体のパワーバランスに影響を与える可能性を危惧しています。安定した政府が誕生しない期間が長引けば、外交的な空白が生まれる恐れも拭えません。果たして新時代のリーダーが誕生するのか、あるいは再び混乱の渦に戻るのか。イスラエル政治の「第2幕」が、今まさに始まろうとしています。
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