2019年11月10日、J1リーグ第31節というシーズン終盤の重要な局面で、鹿島アントラーズは宿敵である川崎フロンターレとの激闘に臨みました。試合の内容自体は決して引けを取るものではなく、むしろ大岩剛監督が「準備してきた展開」と語る通り、鹿島が主導権を握る時間が長かったと言えるでしょう。しかし、スコアボードが示す現実は残酷で、決定機を逃し続けた代償を払う形となりました。
特に後半からの鹿島の猛攻は、観客席を大いに沸かせるほど凄まじいものでした。得点が入るのは時間の問題だと思わせるほど相手陣内に押し込み、分厚い攻撃を仕掛けます。しかし、前半に放たれた伊藤選手のシュートがわずかに枠を外れ、50分過ぎのセルジーニョ選手の決定的な一打も、相手守備陣の捨て身のブロックに阻まれてしまいました。こうしたあと一歩の精細を欠いたことが、試合の命運を分けたのです。
試合の流れを決定づけたのは、一瞬の隙を突かれた失点でした。セットプレーからの献上と、自分たちのコーナーキックからカウンターを食らうという、最も警戒すべき形で2点を奪われてしまいます。ここで使われる「カウンター」とは、相手の攻撃を奪ってから素早く守備が整わないうちに攻め込む速攻を指しますが、百戦錬磨の鹿島がこの術中にはまったのは、非常に痛い誤算だったに違いありません。
ベテランの内田篤人選手が「つぶせるところでつぶせずに」と振り返った通り、守備の強度が重要な局面で発揮されなかったことが響きました。SNS上でもサポーターからは「鹿島らしくない」「勝負どころの甘さが出てしまった」という厳しい声が上がる一方で、最後まで諦めない姿勢に期待を寄せる書き込みも目立っています。この敗戦により順位は3位へ後退し、優勝争いはさらに険しさを増すことになりました。
「20冠」の誇りが支える不屈の精神
しかし、この苦境に立たされてもなお、鹿島の選手たちに焦りの色は見られません。永木亮太選手が放った「最後に頂点にいればいい」という言葉には、これまでに数多くのタイトルを手にしてきたチーム特有の余裕と自信が満ち溢れています。Jリーグは最後まで何が起こるか分からない混戦の舞台であり、そのことを歴史の中で誰よりも理解しているのが、この「常勝軍団」と呼ばれる鹿島なのです。
私自身の視点から述べれば、この試合で見せた鹿島の攻撃的な姿勢は、決して悲観する内容ではなかったと感じます。決定力不足という課題は残るものの、チャンスを構築する力は依然としてリーグ屈指のレベルにあります。土俵際に追い詰められた時にこそ真価を発揮するのが伝統の力であり、この敗戦をきっかけにチームがより強固な団結を見せることを、多くのファンが予感しているのではないでしょうか。
リーグ戦は残りわずかとなりましたが、逆転優勝の可能性はゼロではありません。今回のような「徳俵で残される」ような屈辱的な負け方を二度と繰り返さないために、細部へのこだわりをいかに修正できるかが鍵となります。自力優勝が消滅したとしても、他会場の結果を待ちつつ牙を研ぎ続ける鹿島の執念が、次節以降のピッチで爆発することを大いに期待せずにはいられません。
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