2019年11月05日、ニューヨークで開催された米外交評議会の講演にて、米連邦通信委員会(FCC)のアジット・パイ委員長が次世代通信規格「5G」の安全性について極めて強い警告を発しました。パイ氏は、中国通信機器最大手である華為技術(ファーウェイ)を「米国の通信ネットワークにおける重大な懸念」と断定しています。これは単なる経済競争の枠を超え、国家の安全保障を左右する深刻な事態であることを示唆しているでしょう。
パイ委員長が特に危惧しているのは、あらゆるモノがインターネットにつながる5G社会の到来です。この超高速・低遅延なネットワークは、私たちの経済成長や生活の質を劇的に向上させる変革をもたらしますが、同時にリスクも潜んでいます。もし「敵対的な外国勢力」にインフラを握られれば、機密情報の盗用やシステムの無力化が容易に起こり得るのです。このような背景から、米国は通信網における優位性の確立を急いでいます。
同盟国と歩調を合わせる「クリーンな通信網」への道
中国政府が企業を通じてスパイ活動を行う可能性について、パイ氏は強い懸念を隠しません。最近では香港の抗議デモを巡り、中国当局が米プロバスケットボール協会(NBA)へ圧力をかけた問題も浮上しました。こうした「不穏な行動」が目立つ現状では、中国製機器の採用はあまりに大きなリスクを伴うと考えられます。FCCはすでに2019年10月、政府補助金を受ける企業に対し、ファーウェイやZTE製品の使用禁止を打ち出しました。
この動きは米国一国に留まらず、世界的な潮流となりつつあります。パイ委員長によれば、日本やオーストラリア、ニュージーランドといった同盟諸国も、安全性が担保されない機器を排除する取り組みに賛同しているとのことです。各国が手を取り合い、信頼できるベンダーだけで構成される「クリーンな通信網」を構築することは、デジタル化が進む現代社会において、民主主義の価値観を守るための防波堤となるに違いありません。
一方で、ファーウェイ側も黙ってはいません。郭平(グオ・ピン)副会長は2019年11月04日、世界で60もの通信会社が自社製品を採用し、年内には5G商用化が加速すると自信を見せました。SNS上では「安価で高性能な製品を排除すれば5G普及が遅れる」というコスト面を懸念する声と、「プライバシーや安全は何物にも代えがたい」という強硬派の意見が真っ向から対立し、大きな議論を呼んでいます。
編集者としての私の視点では、通信インフラは現代の「神経系」そのものであると考えます。コスト効率は重要ですが、その根幹に不透明なリスクを残すことは、将来的に取り返しのつかない代償を払うことになりかねません。利便性と安全性の天秤が激しく揺れ動く中で、日本を含む国際社会がどのような「信頼の形」を選択するのか、その決断は私たちの子供世代のデジタル環境を決定づける重要な分岐点となるはずです。
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