フェノール価格は11月も据え置きへ!三井化学の値上げ攻勢と原料安が拮抗する市場の裏側

プラスチック製品や建材の原料として欠かせない基礎化学品、フェノールの国内取引に新たな動きが見られました。2019年11月07日、11月分の国内大口取引価格が1キロあたり269.4円となり、前月の水準を維持したまま決着したことが明らかになっています。価格の指標となる原燃料コストが下落傾向にある中で、横ばいという結果になった背景には、メーカー側と需要家側の熾烈な駆け引きが存在しているようです。

今回の価格決定において鍵を握ったのは、国内最大手である三井化学による強気の姿勢でした。同社は2019年06月より、1キロにつき15円以上の価格引き上げを打ち出し、フェノール樹脂メーカー各社との粘り強い交渉を続けてきました。フェノールとは、ベンゼンを原料に合成される芳香族化合物の一種で、スマートフォンの基板や自動車部品に使われる合成樹脂の重要な材料となる、産業界の「縁の下の持ち主」とも呼べる物質です。

市場では、原材料費の低下によって本来なら値下げが期待される局面でしたが、メーカー側のコスト転嫁に対する固い決意がそれを阻んだ形と言えるでしょう。SNSなどのネット上では「原料が下がっているのに価格が維持されるのは厳しい」「製品価格への転嫁も避けられないのではないか」といった、サプライチェーンの下流に位置する業界からの不安の声が散見されます。一方で、安定供給を維持するための適正価格の確保を支持する冷静な意見も見受けられました。

私個人の見解としては、今回の「横ばい決着」はメーカー側にとって実質的な勝利に近いものだと考えています。原燃料安のメリットを享受しつつ、自らが掲げた値上げ方針を浸透させることで、利益率の改善を図る狙いが透けて見えるからです。しかし、最終製品を作るメーカーにとっては、コスト高が続く厳しい冬の到来を予感させるニュースとなったことは間違いありません。今後の国際情勢による原料価格の変動が、さらなる波乱を呼ぶ可能性も否定できないでしょう。

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