2019年10月22日、世界の金融界に激震が走っています。SNSの巨頭フェイスブックが提唱したデジタル通貨「リブラ」を巡り、既存の金融秩序を守ろうとする各国政府と、革新を急ぐ巨大IT企業の間で、かつてないほど激しい火花が散っているのです。
主要20カ国・地域(G20)は、この新しい通貨がもたらす影響を重く見て、現時点での運用開始を認めない方針を打ち出しました。安全性や規制が不透明なままでは、世界経済を混乱に陥れる可能性があると判断された結果と言えるでしょう。
一方でフェイスブック側は、今の金融システムがいかに非効率で遅れているかを痛烈に批判しています。国境を越えた送金や決済をもっと手軽に、そして安価に提供することで、誰もが平等に金融サービスを受けられる社会を築くべきだと主張し、参入の正当性を強く訴えました。
ここで注目したいのが「通貨発行益(シニョリッジ)」という概念です。これは政府が紙幣などを刷ることで得られる利益を指しますが、リブラのような民間通貨が普及すると、国が持つこの大きな権利が脅かされることになります。
さらに中央銀行が恐れているのは「信用創造」の崩壊です。これは銀行が預金を基に貸し出しを繰り返すことで、社会全体のお金を増やす仕組みのことですが、リブラが独自の経済圏を作れば、この公的なサイクルが断絶しかねません。
SNSで巻き起こる期待と不安の交差点
ネット上の反応を見ると、「銀行の手数料が高すぎるから、リブラには期待したい」といった既存システムへの不満が目立つ一方、「個人情報の塊であるフェイスブックにお金を預けるのは怖い」という警戒感も渦巻いています。
デジタル通貨という新しい文明の利器が、私たちの生活を便利にするのは間違いありません。しかし、国家の根幹を成す通貨の役割を民間企業に委ねることの危うさを、私たちは今一度冷静に見つめ直す必要があるのではないでしょうか。
イノベーションの波は止めることができませんが、中央銀行とIT企業の対立が続く限り、共存の道筋は依然として五里霧中です。2019年10月22日、私たちはまさに金融史の大きな分岐点に立ち会っていると言っても過言ではありません。
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