世界で初めて新幹線の中に「足湯」を設けた、驚きの列車があることをご存じでしょうか。その名も「とれいゆ つばさ」です。山形新幹線の福島駅から新庄駅の間を運行するこの列車は、いまや国内だけでなく、海外の旅行客からも「シンカンセンに温泉があるなんて!」と羨望の眼差しを向けられる存在となっています。
SNS上でも「新幹線に乗っていることを忘れる」「車窓を眺めながらの足湯は背徳感があって最高」といった絶賛の声が止みません。単なる移動手段としての鉄道を、それ自体が目的地となる「観光列車」へと昇華させたこの試みは、日本の鉄道文化の奥深さを象徴していると言えるでしょう。
お座敷でくつろぐ贅沢な車内空間
旅の始まりは2019年11月02日、福島駅からの出発です。14号車に足を踏み入れると、そこには「お座敷指定席」が広がっています。座席はなんと畳敷きで、座布団には将棋の街として知られる天童の駒がデザインされるなど、随所に山形らしい演出が施されています。
こうした地域色豊かなデザインは、旅の情緒を一層引き立ててくれます。最近の鉄道旅では効率が重視されがちですが、こうした遊び心のある内装に触れると、心がふっと解きほぐされるのを感じるはずです。デジタルな日常から離れ、和の空間に身を置く時間は、現代人にとって何よりの贅沢かもしれません。
流れる吾妻連峰を眺めながらの足湯体験
16号車にある「くつろぎの間」へ向かうと、そこには鮮やかな紅花色の足湯が鎮座しています。ここでは「湯守」と呼ばれるアテンダントが案内を務めてくれます。予約制で15分間の入れ替え制となっており、泡立つお湯に足を浸せば、日頃の疲れがじわりと溶け出していくようです。
足湯の醍醐味は、なんといっても窓の外を流れる雄大な吾妻連峰の景色です。福島と山形の県境に連なる山々を、温かい湯船に浸かりながら鑑賞できるのは、この列車だけの特権と言えるでしょう。こうした非日常的な体験こそ、私たちが旅に求める最大の付加価値ではないでしょうか。
山形のソウルフードと地酒を味わい尽くす
体が温まった後は、15号車の「湯上がりラウンジ」で喉を潤しましょう。ここでは地ビールの「山形ビール ピルスナー」を楽しむことができます。ピルスナーとは、日本で最もポピュラーな淡い黄金色のビール形式で、爽やかなホップの香りとキレのある苦味が特徴です。
さらに、山形名物「牛肉どまんなか」をアレンジした特製弁当も欠かせません。芋煮やさくらんぼ鶏、枝豆のギョロッケ(魚肉練り製品のフライ)など、山形のソウルフードが詰め込まれた一品です。地元の味覚を地酒とともに味わえば、目的地に着く前にお腹も心も山形色に染まるに違いありません。
冬の旅を彩る特別なプラン
「とれいゆ つばさ」は、主に2020年03月29日までの土日祝日を中心に運行されています。2019年12月28日から2020年01月05日の年末年始期間は運休となりますが、冬の雪景色を眺めながらの足湯は、格別の趣があるでしょう。
利用の際は、乗車券と特急券に加えて、食事や足湯がセットになった「びゅう旅行商品」のプランを予約するのがスマートです。個人的には、ただ乗るだけでなく、こうした付帯サービスをフル活用して「山形を五感で楽しむ」ことこそ、この列車の正しい嗜み方だと強く確信しています。
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