2019年最新の人材市場を読み解く!エン・ジャパン鈴木社長が語る「景気に左右されない採用」の新常識

世界的な経済の先行きに不透明感が漂う2019年11月04日現在、労働市場の需給バランスを示す「有効求人倍率」にはわずかな低下の兆しが見え始めています。かつてないほど深刻だった人手不足の波が落ち着きを見せるなか、これからの日本経済はどのような局面を迎えるのでしょうか。転職サイト大手として知られるエン・ジャパンの鈴木孝二社長に、現場の最前線から見えるリアルな景況感についてお話を伺いました。

SNS上では「景気が悪くなると真っ先に採用が止まるのでは?」という不安の声も散見されますが、鈴木社長の見解は非常にポジティブなものです。同社が運営する「エン転職」の求人掲載数は、2014年09月を基準の「1」とした場合、2018年09月には「2.15」、そして2019年09月には「2.45」へと着実に伸長しています。米中貿易摩擦の煽りを受けた製造業の一部に慎重な姿勢はあるものの、サービス業を中心とした採用意欲は依然として衰えを知りません。

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QR決済の普及が新たな雇用を生む?人海戦術が支えるインフラ拡大

具体的にどのような職種でニーズが高まっているのか、その内訳は非常に興味深い内容となっています。特に伸びが顕著なのは、介護や接客といった「人の介在」が不可欠なサービス分野です。さらに、インターネット通販(EC)の爆発的な普及に伴い、荷物を保管する倉庫や運送部門での人材確保が急務となっています。こうした物理的なインフラを支える労働力こそが、現代社会の心臓部を動かしているといっても過言ではないでしょう。

なかでも注目すべきは、今まさに普及期を迎えている「QRコード決済」に関連する営業職の需要です。「PayPay(ペイペイ)」をはじめとする各社が激しいシェア争いを繰り広げるなか、勝敗を分けるのは利用できる店舗の数にほかなりません。街中の飲食店や小売店を一軒ずつ訪問して導入を促すには、膨大な「人海戦術」が必要となります。テクノロジーの最先端を走るサービスであっても、その土台を築くのは泥臭い営業力である点は非常に面白い現象です。

2008年のリーマン・ショック時には、同社の売上高が半減するほどの打撃を受けたといいます。しかし、鈴木社長は「今後、大きな経済変動が起きても当時のような落ち込みはない」と断言します。その背景にあるのは、団塊の世代が労働市場から完全に引退し、企業にとっての「人手不足」が構造的な課題へと変化したことです。景気の良し悪しにかかわらず、優秀な即戦力を中途採用で確保したいという切実な願いは、もはや企業の生存戦略そのものなのです。

自治体も「外部人材」を奪い合う時代へ!変化するキャリアの価値観

採用の波は民間企業だけでなく、行政の場にも波及しています。自治体が抱える複雑な課題に対し、従来の職員(プロパー)だけでは対応しきれないケースが増えているからです。例えば、奈良県生駒市では市長が先頭に立ち、ICT(情報通信技術)の推進や都市PRを担う部長級のポストを公募しました。その結果、全国から2000人もの応募が殺到したといいます。一部の職種ではテレワークが認められたことも、多様な働き方を求める層に響いたのでしょう。

働く側、特に若い世代の意識変化も無視できません。かつては給与や企業の知名度が最優先されていましたが、現在は「自分にどれだけの裁量があるか」や「社会にどれだけ貢献できるか」を重視する傾向が強まっています。企業のブランド力だけで人を惹きつける時代は終わりを告げました。自分の意思で仕事を選択できる「自己決定感」を提供できない組織からは、例え大企業であっても、優秀な人材が容赦なく離れていく厳しい時代が到来しています。

さらに「カイシャの評判」のような口コミサイトの台頭により、企業の内部実態は完全に可視化されました。ブラックボックス化していた人事制度や職場環境が白日の下にさらされることで、企業側は自浄作用を働かせ、働き方改革を加速させざるを得ません。私個人としても、こうした透明性の向上は健全な市場競争を生み出すと確信しています。これからは、社員一人ひとりの幸福度に向き合う企業こそが、真の勝者として生き残っていくのではないでしょうか。

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