名門・海老名家に生まれ、偉大な父を持つ落語家・林家たま平さん。ドラマ「ノーサイド・ゲーム」での熱演も記憶に新しい彼が、師匠である父・林家正蔵さんとの切っても切れない絆を明かしてくれました。SNSでは「ラグビー経験を活かした演技が最高」「お父さんにそっくりだけど独自の華がある」と、若き才能への期待が爆発しています。
学生時代、たま平さんは多忙な父に対し、一抹の寂しさを抱えていたといいます。中学・高校と打ち込んだラグビーの試合にも、父が応援に来られたのはわずか1回きりでした。それでも、貴重なオフには必ず家族で食卓を囲む時間を作ってくれる、そんな優しさに溢れた父親像がそこにはありました。進路を考えた際、自然と浮かんだのはやはり落語の世界だったそうです。
決して「跡を継げ」とは言われなかった環境で、自らの意志で弟子入りを志願したたま平さん。しかし、中学3年生の時の願いは「目の前の学業を全うしろ」と一蹴されてしまいます。転機となったのは高校の部活動を終えた時期でした。祖母である作家・海老名香葉子さんからの温かな問いかけに背中を押され、2013年、ついに落語の門を叩く決意を固めたのです。
父子の縁を断ち切った師弟の絆
入門に際し、父からは「今日から親子としての縁は断つ」という厳しい言葉を突きつけられました。家庭での優しい父は消え、そこには妥協を許さない「師匠・正蔵」が立っていたのです。たま平さんは、師匠が2015年度の文化庁芸術祭優秀賞に輝いた「しじみ売り」を舞台袖で聴いた際の衝撃を、言葉を操るプロの凄絶さとして今も鮮明に記憶しています。
2017年には、寄席の身分で前座から一歩進んだ「二ツ目(ふたつめ)」へと昇進を果たしました。二ツ目とは、師匠の付き添いを卒業し、紋付き袴の着用や自分の会を開くことが許される一人前の入り口を指します。たま平さんは「手取り足取り教わるのではなく、師匠の芸を盗んでいきたい」と、そのどん欲な向上心を隠しません。
俳優としての活躍も目覚ましく、大泉洋さんや山田洋次監督との仕事を通じて、自身の「心で喋る」技術の未熟さを痛感したといいます。しかし、ドラマや映画への挑戦はすべて落語の肥やしに繋がると彼は信じています。2019年12月27日公開の映画『男はつらいよ お帰り 寅さん』での経験も、必ずや高座の個性を磨く力になることでしょう。
たま平さんにとって、師匠は遥か先を照らす「道しるべ」です。偉大な家系の4代目という看板に甘んじることなく、自分にしかできない表現でお客さんを楽しませたいと語るその瞳には、強い覚悟が宿っています。伝統を受け継ぎながら新しい風を吹かせる彼の歩みから、2019年11月5日現在、ますます目が離せません。
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