2018年7月に発生した西日本豪雨は、私たちに多くの教訓を残しました。その中でも特に大きな課題として浮き彫りになったのが、地域に住む外国人の方々への情報伝達です。言葉の壁によって避難が遅れる事態を防ごうと、岡山市北区のコミュニティーFM局「岡山シティエフエム」が、画期的な番組を放送しているのをご存知でしょうか。
番組のタイトルは「外国人のための安全・安心ラジオ」です。2019年4月にスタートしたこの試みは、毎月第1木曜日の午前10時40分から15分間にわたって届けられています。実際に災害を経験した当事者の声を共有することで、地域全体の防災意識を底上げする狙いがあるのでしょう。SNS上でも「多言語支援は命に直結する」「素晴らしい取り組みだ」といった応援の声が広がっています。
漢字の壁を越えて届ける、被災現場のリアルな苦悩
2019年9月の収録現場では、倉敷市に住む英国人大学講師、ティム・クレミンソンさんが切実な悩みを吐露しました。災害時には一刻を争う正確な情報が必要不可欠ですが、日本語特有の複雑な漢字や専門的な用語が並ぶと、理解するのが非常に困難なのだそうです。こうした「情報の孤立」は、彼らにとって死活問題と言えるでしょう。
これまでの放送には、中国やベトナムから来た方々も出演してきました。自治体が出す避難指示が難解で戸惑った経験や、日頃から行う防災訓練の重要性が語られています。こうした生の声は、同じ境遇にいる外国人だけでなく、私たち日本人の心にも深く響くはずです。番組の最後には、岡山市が開始した多言語版防災メールの紹介など、役立つ最新情報もしっかりフォローされています。
2019年9月末時点で、岡山市で暮らす外国人は約1万3600人に上り、市全体の人口の約2%を占めています。彼らで構成される「岡山市外国人市民会議」の要望がきっかけで始まったこの共同企画は、まさに官民一体となったセーフティネットと言えます。多文化共生が進む現代において、情報格差を埋めるメディアの役割はかつてないほど高まっているのではないでしょうか。
共に助け合う社会へ!メディアが繋ぐ心のバリアフリー
岡山シティエフエムの大賀祐樹ディレクターは、この放送を日本人にも聴いてほしいと願っています。周囲に困っている外国人がいたら、自然に手を差し伸べる意識を育んでほしいという思いがあるからです。こうした「共助」の精神こそが、次に起こるかもしれない災害から一人でも多くの命を救う鍵になるでしょう。
私は、この取り組みが単なる情報提供に留まらず、心のバリアフリーを促進する架け橋になると確信しています。コミュニティーFMという地域に密着した媒体だからこそ、住民一人ひとりの「隣人愛」を呼び覚ますことができるはずです。誰もが安心して暮らせる街づくりに向けて、ラジオから流れる温かな声が今日も岡山に響き渡っています。
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