福井県から世界へ革新的な技術を発信するセーレンが、2019年11月05日に最新の決算数値を発表しました。2020年3月期の連結純利益は前期比で15%減の70億円となる見通しですが、当初の20%減という予測から一転して上方修正が行われています。世界経済を揺るがす米中貿易摩擦という逆風のなかで、同社が見せた粘り強い業績回復には、投資家からも「想像以上に底堅い」といった驚きの声がSNS上で上がっているようです。
今回の業績押し上げに大きく貢献したのは、同社の屋台骨である車両資材部門の健闘でしょう。中国市場における日系自動車メーカー向けの需要が、事前の懸念を払拭するほど堅調に推移したことが大きな要因といえます。また、タブレット端末やゲーム機に欠かせない「導電性素材」の採用が拡大している点も見逃せません。これは電気を通す性質を持つ特殊な布やフィルムのことで、デジタル機器の進化を影で支えるセーレン独自の技術力が、まさに結実した形といえるでしょう。
同日公表された2019年04月01日から2019年09月30日までの連結決算に目を向けると、純利益は前年同期比12%減の37億円にとどまりました。前年に計上された為替差益、いわゆる円安による利益の上乗せが減少したことが主な減益理由です。しかし、売上高は1%増の608億円を確保しており、本業の儲けを示す営業利益も50億円と、前年並みの水準をしっかりと維持しています。こうした数字からは、外部環境に左右されない事業基盤の強固さが伝わってきます。
特に注目すべきは、医療用の原糸など「高付加価値」な繊維製品の成長です。これは単なる衣料用ではなく、高度な機能性や安全性が求められる特殊な素材を指します。汎用品での価格競争を避け、独自の先端技術で利益率を高める戦略こそが、不透明な世界情勢下での盾となっているのでしょう。一編集者の視点としても、伝統的な繊維業からハイテク素材メーカーへと鮮やかに変貌を遂げた同社の柔軟な経営姿勢には、日本の製造業が進むべき一つの理想形を感じずにはいられません。
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