スポーツアパレルの雄として知られるデサントジャパンが、満を持してランニングシューズ事業への本格参入を表明しました。2019年11月25日、同社は日本人の足に特化した新作「原点 GENTEN」の予約受付を一部店舗で開始しています。これまで高機能なウェアで培ってきた技術力を、今度は足元へと注ぎ込む決断を下したようです。
今回の参入において最大の武器となるのが、日本人の足型を徹底的に追求した独自設計でしょう。欧米ブランドの多くは幅が狭くスマートな形状をしていますが、日本人は「甲高幅広(こうだかひろ)」と呼ばれる、足の甲が高く横幅が広い特性を持っています。この形状に合わせたラスト(靴の木型)を採用することで、走行時の不快なズレを劇的に軽減させています。
SNS上では「ついにデサントから本気のランニングシューズが出るのか」「日本人の足を一番理解してくれているブランドに期待したい」といった熱い声が飛び交っています。やはり海外ブランドのサイズ感に悩んでいたランナーは多く、この日本発の「お家芸」的なアプローチは、多くの市民ランナーや競技者の心を掴むに違いありません。
カーボンプレート搭載の「エリート」が導く圧倒的な推進力
ラインナップの中でも注目を集めているのが、シリアスランナー向けモデルの「エリート」です。この一足には、近年のシューズ開発のトレンドである「カーボンプレート」が内蔵されています。これは靴底に埋め込まれた軽くて硬い板のことで、着地した際のエネルギーを効率よく反発力に変換し、バネのような推進力を生み出す画期的な素材です。
驚くべきはその数値化された性能で、他社製品と比較して秒速が約0.35メートル向上し、一歩あたりの歩幅(ストライド)が約15センチも伸びるというデータが示されています。価格は1万7600円に設定されており、本格的な競技モデルとしては極めて戦略的な設定と言えるでしょう。単なる流行を追うのではなく、理論に裏打ちされた速さを提供しています。
編集者の視点から見れば、この参入は非常に賢明な一手だと感じます。現在、ランニング市場は外資系ブランドが席巻していますが、日本人の繊細なフィッティングへのこだわりを逆手に取った「ニッチかつ王道」な攻め方は、ブランドの信頼性をさらに高めるはずです。アパレルの強みを活かした全身コーディネートの提案も、今後大きな魅力となるでしょう。
デサントの小川典利大社長は、2024年までに全社におけるシューズの売上比率を、現在の約10%から20%まで引き上げる目標を掲げています。まずは競技用としての認知度を盤石にし、将来的にはライフスタイルに根ざした日常履きの需要も掘り起こす構えです。日本の職人魂が宿った一足が、世界の強豪にどこまで食らいつくのか目が離せません。
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