2019年11月26日、ファッション業界に激震が走りました。東京・渋谷に拠点を置き、コアなファンから絶大な支持を集めるアパレル会社「GLADHAND(グラッドハンド)」の幹部らが、会社の売上金を着服していた疑いが浮上したのです。これを受け、東京地検特捜部は業務上横領の容疑で、同社本社をはじめとする関係各所への家宅捜索に乗り出しました。
捜査当局の調べによれば、幹部らは長期間にわたって売上金の抜き取りを繰り返していたと見られています。その被害総額は、判明しているだけでも少なくとも数千万円規模に達する可能性が高いというから驚きです。華やかなアパレル業界の裏側で、これほど多額の資金が不正に流用されていた事実は、ブランドを愛用するファンにとっても裏切り行為と言わざるを得ません。
今回の事件で最も注目すべき点は、捜査の過程で「司法取引」が成立したことです。これは2018年06月に導入されたばかりの新制度で、他人の犯罪を暴くために捜査協力を行った場合、見返りとして自身の刑事処分を軽くしてもらえるというものです。この制度の適用は国内で3例目という極めて異例の事態であり、捜査当局の本気度が伺えますね。
具体的には、幹部の指示を受けて不正な事務作業に関与した社員が、特捜部との合意に至ったようです。自分自身の起訴を見送ってもらう代わりに、幹部の不正を裏付ける証拠や証言を提供するという内容だと推測されます。内部事情に精通した人物からの告発は、組織的な犯罪を立証する上で非常に強力な武器となるはずです。
若者に人気のブランドを襲った激震と「司法取引」の重み
2005年に設立されたGLADHANDは、アメリカンビンテージを彷彿とさせる独特の世界観が魅力のブランドです。男性向けカジュアルウェアを中心に、全国のセレクトショップで取り扱われるほどの人気を誇っています。それだけに、今回の不祥事に対するSNSでの反響は大きく、「信じられない」「お気に入りの服だったのに残念だ」といった悲鳴に近い声が相次いでいます。
日本における司法取引は、過去に「三菱日立パワーシステムズ」の贈賄事件や、あの「日産自動車」のカルロス・ゴーン元会長を巡る事件でしか適用されていません。今回のようなアパレル企業という身近な業界でこの手法が使われたことは、今後の企業犯罪捜査の在り方を大きく変える転換点になるのではないでしょうか。
筆者の個人的な見解としては、どれほど優れたデザインやカルチャーを生み出している企業であっても、不透明な資金管理が許されるはずはないと考えます。クリエイティブな熱量の裏で、このような私利私欲による裏切りが横行していたのであれば、ブランドの信頼回復には相当な時間が必要でしょう。まずは押収された資料の分析によって、全ての闇が解明されることを願って止みません。
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