東海第2原発、合格から1年で露呈した「94万人避難」の壁!実効性ある計画は完成するのか?

2018年に再稼働への審査をパスした日本原子力発電の東海第2原子力発電所ですが、それから1年が経過した2019年11月29日現在、大きな壁が立ちはだかっています。それは、万が一の事故が発生した際に周辺住民をいかに安全な場所へ逃がすかという「広域避難計画」の策定です。

対象となるのは、原発から半径30キロメートル圏内に居住する約94万人という膨大な数の市民です。これほどの大規模な避難を支える計画作りは、自治体にとって非常に過酷なミッションといえるでしょう。現時点では、対象となる14の市町村のうち、策定を完了させたのはわずか3つの市にとどまっているのが実情です。

SNS上では「94万人も同時に動けるわけがない」「絵に描いた餅にならないか心配」といった、計画の現実味を疑問視する声が多く上がっています。また「高齢者や入院患者はどうなるのか」という命に直結する懸念も広がっており、住民の不安をいかに解消し、信頼を得られるかが大きな焦点となっているのです。

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訓練で浮き彫りになる「移動手段」と「担い手」の課題

実効性を検証するため、各自治体では住民参加型の避難訓練が活発に行われています。2019年6月には東海村が、11月4日には日立市が初の大規模訓練を実施しました。日立市の訓練では、ストレッチャーや車椅子を用いた「要支援者」の避難手順も確認されましたが、参加者からは「若い世代の関心が低い」といった切実な指摘も出されています。

ここで鍵となるのが、自力で避難できない人々を運ぶバスなどの輸送手段です。茨城県は2019年11月26日、バス会社の運行管理者を対象とした研修会を開催しました。有事の際に運転手が迷わず現場へ向かえるよう、防護服の着脱や放射線の基礎知識をレクチャーし、効率的な配車システムによるマッチング機能の導入も進めています。

「放射線」とは、物質を通り抜ける力を持つ光線や粒子のことで、これに過剰にさらされる(被曝する)ことを防ぐのが避難の目的です。しかし、バス会社側からは「現場へ向かう運転手の心理的不安を取り除いてほしい」という声も上がっており、システムなどのハード面だけでなく、人の心というソフト面のケアも不可欠であることが分かります。

命を守るために必要なのは「当事者意識」の共有

さらに深刻なのが、病院や福祉施設などの「屋内退避」の問題です。移動が困難な重症患者などは、屋外へ出るよりも頑丈な建物内で放射線を遮る方が安全な場合があります。しかし、施設の閉鎖や新設が相次ぐ中で、すべての施設に万全の対策を求めるのは容易ではありません。計画を「形式」だけで終わらせないための、粘り強い対話が求められています。

編集者としての私見ですが、避難計画は決して行政が一方的に押し付けるものであってはならないと感じます。94万人という数字は、単なる統計ではなく一人一人の大切な人生です。誰が、いつ、どこへ、どうやって逃げるのか。自治体や国、事業者はもちろん、私たち住民自身も「自分事」としてこの問題に向き合う時期に来ているのではないでしょうか。

東海第2原発が稼働できる期間は、最長でも残り19年とされています。この限られた時間の中で、誰もが納得できる「命の守り方」を構築できるのか。日本全体が注目するこの課題に対し、関係各所が利害を超えて手を取り合い、真に機能する計画を作り上げることを強く切望します。

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