埼玉・深谷で豚コレラ拡大、殺処分7500頭の衝撃。ブランド豚を守るワクチン接種と防疫の最前線

埼玉県内で「豚コレラ(CSF)」の感染拡大に歯止めがかからない深刻な事態となっています。2019年11月9日、県内随一の養豚地として知られる深谷市の養豚場で、県内5例目となる感染が新たに確認されました。秩父市での初発生からわずか2カ月の間に、殺処分対象となった豚は累計で7500頭を突破しており、地域の基幹産業はかつてない危機に瀕しているといえるでしょう。

今回、感染が発覚したのは約2150頭を飼育する農場です。皮肉にも、県が開始したワクチン接種のための事前検査によって、感染の疑いがある個体が発見されました。その後の再検査を経て陽性が確定し、現場では迅速な対応が迫られています。ネット上では「農家さんの心痛を思うと言葉が出ない」「丹精込めて育てた命が失われるのは辛すぎる」といった、生産者に寄り添う悲痛な声が次々と上がっています。

豚コレラ(CSF)とは、強い伝染力と高い致死率を持つ豚やイノシシの病気です。人間に感染することはありませんが、一度発生すると周囲の豚をすべて殺処分しなければならず、経済的な打撃は計り知れません。県は2019年11月13日までの完了を目指し、300人以上の職員を動員して、殺処分や埋却、農場の消毒といった「防疫措置」を不眠不休で進めているのが現状です。

スポンサーリンク

ワクチン接種の「空白期間」を突くウイルスの猛威

特に深谷市は、県内全体の約1万9400頭が飼育される最大の拠点であり、こだわり抜いたブランド豚を育てる農家も少なくありません。県は2019年11月1日からようやくワクチン接種を開始し、すでに2万5000頭への対応を終えていました。しかし、ワクチンによってウイルスへの抵抗力(抗体)がつくまでには2週間から4週間ほどの時間を要するため、その隙を突かれる形での感染確認に関係者は言葉を失っています。

大野元裕知事は緊急対策本部会議にて「まさに勝負の時だっただけに、大変残念だ」と苦渋の表情を浮かべました。感染ルートを遮断するため、ウイルスを運ぶとされる野生イノシシへの対策として、餌に混ぜる「経口ワクチン」の散布も進められています。しかし、2019年11月9日には美里町でも感染イノシシが見つかっており、自然界と養豚場の両面で予断を許さない攻防が続いているのです。

現場で作業にあたる県職員の皆さんの疲弊も、無視できないレベルに達しています。これまでの動員数は延べ2500人を超え、中には台風19号による浸水被害に見舞われた過酷な環境下で作業を続けた例もありました。生き物の命を奪う作業は精神的な負荷が極めて高く、体調を崩す職員も出ているといいます。私自身、食卓の安全を守るために自らを削って働く方々の献身には、深い敬意を抱かずにはいられません。

県は手数料の免除や融資制度など、養豚農家の経営維持に向けた支援を強化していますが、最も必要なのは一刻も早い終息です。ブランド豚という地域の宝を守り抜くために、行政と民間、そして私たち消費者の理解が一体となることが今こそ求められています。私たちは、安全な豚肉を供給しようと最前線で闘う人々を、今後も注視し支えていく必要があるでしょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました