2019年11月07日現在、私たちの食卓でお馴染みの「定番食品」たちが、驚きの進化を遂げています。長年愛されてきたロングセラー商品が、あえて今リニューアルを断行することで、市場の飽和感を打破する成功例が相次いでいるのです。特に注目すべきは、かつてのファンだった「大人世代」を再び取り込む巧妙な戦略でしょう。
SNS上でも「子供の頃より美味しくなってる気がする」「パッケージの文字を見て、仕事のお供に買うようになった」といったポジティブな投稿が目立ちます。一度離れてしまった顧客を呼び戻すのは容易ではありませんが、各社は時代の変化に合わせた「価値の再定義」で見事にそれを成し遂げました。
40周年「パイの実」が放つ、大人の感性を刺激する香り
ロッテは、発売40周年という節目を迎えた2019年04月、看板商品である「パイの実」の刷新を行いました。調査の結果、「子供時代は食べていたが、大人になってからは疎遠になった」という層が非常に多いことに着目したのです。そこで、独自の原料を新たに配合し、開封した瞬間にまるで「焼きたて」のような芳醇な香りが広がる工夫を施しました。
さらに、パイ生地の風味を最大限に引き立てるよう、中のチョコレートも一新しています。この細やかな改良が功を奏し、2019年04月から10月までの販売額は前年同期比で107%を記録しました。「久しぶりに手に取ったけれど、やっぱり裏切らない味」という消費者の信頼を勝ち取った結果だと言えるでしょう。
「ブドウ糖」でサラリーマンを射止めた、森永ラムネの逆転劇
森永製菓が2018年03月に投入した「大粒ラムネ」の快進撃も止まりません。従来のボトルタイプは子供向けのイメージが強かったのですが、パウチ型の新商品はターゲットを明確に「大人」へシフトさせました。粒の大きさを1.5倍にボリュームアップさせ、食べ応えを追求しています。
特筆すべきは、パッケージに「ブドウ糖90%配合」と大きく明記した点です。ブドウ糖は脳の主要なエネルギー源となる栄養素であり、仕事に集中したいサラリーマンや勉強に励む学生にとって、この表示は強力な購入動機となりました。発売からわずか1カ月半で供給が追いつかず一時終売に追い込まれるほどの反響を呼び、2018年10月の再発売後も、シリーズ全体の売上を前年比2倍のペースへと押し上げています。
一編集者の視点として、私はこの「機能性の可視化」こそが現代のヒットの鍵だと考えます。単に美味しいだけでなく、「なぜ今、これを食べるべきか」という理由を明確に提示した森永製菓のマーケティングは非常に鋭いものです。定番品が持つ安心感に、現代人が求めるベネフィット(利益)を掛け合わせることで、眠っていた市場はこれほどまでに活性化するのでしょう。
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