2019年6月下旬から夏にかけて、東京では古代の秘宝から、浮世絵の巨匠、現代アートまで、様々な角度から文化と歴史の奥深さを堪能できる美術展が目白押しです。特に注目したいのは、約1000年の時を超えて甦った優美な焼き物「唐三彩」の展覧会でしょう。そして、アメリカの美術館が門外不出としてきた葛飾北斎の貴重な作品や、日本と海外の交流の歴史を書物から辿る企画など、知的好奇心を刺激するラインナップが展開されます。
まずご紹介したいのは、日比谷の出光美術館で2019年6月22日(土)から8月25日(日)まで開催される「唐三彩 シルクロードの秘宝」です。唐三彩とは、その名の通り、唐の時代に作られた陶磁器のことで、主に緑、褐(茶)、白の3色を鮮やかに使い分けた釉薬(ゆうやく、うわぐすりのこと)が特徴の、優美な焼き物であります。シルクロードを通じた東西交流が盛んだった唐の都の華やかな賑わいを伝える芸術品で、異国情緒あふれる砂漠の商人やラクダを表現した「三彩騎駝人物」(出光美術館蔵)などの名品が展示されています。
この唐三彩が、20世紀初頭の中国で鉄道敷設工事中に偶然発見されるまで、その存在は長く知られていませんでした。主に王侯貴族の葬礼や墳墓を飾るために用いられた、当時の技術の粋を集めた作品群です。失われた技術の再発見、そしてシルクロードが結んだ遥かなるロマンを感じさせるこの展覧会は、美術ファンならずとも必見と言えるでしょう。本展では唐三彩を中心に、新しい時代の陶磁器も含めて約130件が紹介される予定です。
📚 歴史と文化の交差点:書物と浮世絵が語る日本の歩み
歴史と海外交流という視点からは、二子玉川の静嘉堂文庫美術館で2019年6月22日(土)から8月4日(日)まで開催される「書物にみる海外交流の歴史」も興味深い企画です。日本文化は古来より外国、特に中国から大きな影響を受けて発展してきました。本展では、漢字の伝来から日本の歩みを書物を通して探ることができ、中国最古の詩集である「毛詩」や、江戸時代に作られた英和辞書など、貴重な文献が並びます。文化交流の痕跡を「文字」や「本」から読み解く、知的な体験ができるでしょう。
一方、両国のすみだ北斎美術館では、浮世絵の巨匠・葛飾北斎に焦点を当てた展覧会が、2019年6月25日(火)から8月25日(日)まで開催されます。アメリカのフーリア美術館が所蔵し、門外不出を貫いてきた貴重な北斎作品が高精細な複製で、日本での展示を実現したのです。「波涛図」や「玉川六景」といった傑作群に加え、関連作品を含め130点が紹介される予定です。世界を魅了し続ける「HOKUSAI」の真髄に触れるまたとない機会となるでしょう。
また、六本木のサントリー美術館では、2019年6月26日(水)から8月18日(日)まで、「遊びの流儀 遊楽図の系譜」が開催されます。「遊び」をテーマに美術作品の変遷を辿るというユニークな切り口で、すごろくやカルタといった当時の娯楽が、いかにして美術のテーマとして描かれてきたのかを深く知ることができます。火曜休館ですが、お盆期間の8月13日(火)は開館する予定ですので、夏のレジャーとしてもお出かけになってはいかがでしょうか。
🖼️ 心温まる世界と銅版画の美:多様なアートに触れる夏
現代の心象風景を描く画家にも注目が集まっています。青梅市立美術館では、2019年6月22日(土)から9月1日(日)にかけて「中島潔 新しい風」展が開催中です。NHKの「みんなのうた」のイラストレーションなどで知られる中島潔氏は、子どもたちを描いた温かみのある作品で多くの人を魅了してきました。素朴で優しい世界観は、観る人の心を癒してくれるに違いありません。この機会に、そのぬくもりあふれる世界に浸ってみるのも良いかもしれません。
さらに、ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクションでは、2019年7月15日(月・祝)まで、「憧れ 伊豆と浜口陽三」展が生誕110年を記念して開催されています。戦後の2年間を伊豆で過ごした経験を基点に、色彩豊かな銅版画を中心に約50点の作品が並びます。銅版画は、銅の板に線を彫ったり腐食させたりすることで、非常に緻密な表現を可能にする技法です。画家の内面世界を映し出すような繊細で美しい作品を通して、芸術家の足跡を辿ってみてはいかがでしょうか。
これらの展覧会は、過去の壮大な歴史、異文化との交流、そして人々の日常や心象風景まで、多角的な視点から「美」と「文化」を再発見させてくれます。どの企画もそれぞれに魅力的で、2019年の夏を豊かに彩るアート体験となることでしょう。休館日や開館時間、料金については、各美術館の情報を事前にご確認いただくことをお勧めします。
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