2019年11月07日、楽天が発表した2019年01月から09月期の連結決算は、市場に大きな衝撃を与えました。最終損益が141億円の赤字となり、前年同期の1079億円という巨額の黒字から一転してマイナスに沈んだのです。1月から9月期としての最終赤字は実に8年ぶりのことで、同社が今、激動の「生みの苦しみ」の最中にいることが浮き彫りとなりました。
今回の赤字の最大の要因は、出資先であるアメリカのライドシェア大手「リフト」に関連する巨額の損失です。ライドシェアとは、一般のドライバーが自家用車で乗客を運ぶサービスを指します。楽天は上場時には大きな利益を得ましたが、その後の株価下落により約1000億円もの「減損損失」を計上しました。減損損失とは、投資した資産の価値が大幅に下がり、回収が難しくなった際に帳簿上の価値を削る処理のことです。
携帯電話事業の「圏外」問題と基地局整備への執念
赤字を拡大させているもう一つの要因が、新規参入した携帯電話事業への先行投資です。2019年10月から始まった試験サービスでは、利用者から「地下で繋がりにくい」といった厳しい声も上がっています。しかし三木谷浩史会長兼社長は、2019年11月02日にも自らSNSで基地局整備の進捗を発信するなど、強気の姿勢を崩していません。年末までに3000局の稼働を目指し、早期の本格商用化へ向けて突き進んでいます。
さらに、楽天市場における「送料問題」も経営の火種となっています。楽天は2020年春までに、一定金額以上の購入で送料無料とする方針を打ち出しましたが、これに出店者が反発し、2019年10月05日には反対団体が結成される事態にまで発展しました。アマゾンなど競合他社との激しい争いの中で、顧客の利便性と出店者の負担をどう両立させるのか、三木谷社長の舵取りがかつてないほど問われている状況にあります。
SNSでは「リフトの株価に左右されるのは危うい」「楽天モバイルのエリア拡大を早くしてほしい」といった、投資とインフラの両面に対する不安の声が目立ちます。編集者の私見ですが、今の楽天は、既存のECや金融という「稼ぎ頭」で得た利益を、未来の巨大事業へ注ぎ込む極めて大胆なギャンブルに出ているように見えます。この141億円の赤字が「飛躍の前兆」となるのか、それとも「終わりの始まり」なのか、その答えは基地局の広がりが証明するでしょう。
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