2019年11月13日、フランスのパリに拠点を置く国際エネルギー機関(IEA)は、地球の未来を左右する重要な提言を世界に向けて発信しました。地球温暖化を食い止めるための国際的な約束事である「パリ協定」を守るためには、2050年までに石炭火力発電から出る二酸化炭素(CO2)の量を、実質的にゼロにする必要があるという厳しい見通しです。
私たちが日常的に利用している電気は、その多くを石炭を燃やして作る発電方式に頼っていますが、これは多くの温室効果ガスを排出する原因にもなっています。現在のペースで対策を進めるだけでは、目標の2050年になったとしても排出量は4割ほどしか減らないと予測されており、理想と現実の間に横たわる深い溝が浮き彫りになりました。
SNS上では、この発表を受けて「未来の子供たちのために、一刻も早い転換が必要だ」といった賛成の声が上がる一方で、「電力コストの上昇が家計を圧迫するのではないか」という不安も入り混じっています。環境保護という大きな大義名分と、私たちの生活を支える経済的なリアリティの間で、多くの人々が揺れ動いている様子が手に取るように伝わってきました。
鍵を握る革新的技術「CCUS」と莫大な投資の必要性
IEAはこの難局を乗り越えるための切り札として、CO2の回収・貯蔵設備への大規模な投資を促しています。これは「CCUS(Carbon capture, Utilization and Storage)」と呼ばれる最新の技術で、発電所や工場から排出される二酸化炭素が大気中に放出される前に捕まえ、それを地中に埋めたり別の製品の原料として再利用したりする画期的な仕組みです。
しかし、こうした魔法のような技術を普及させるには、これまでの常識を覆すほどの巨額な資金投入が不可欠でしょう。編集部としては、単に排出量を抑えるという「我慢の脱炭素」ではなく、こうした新技術を経済成長のチャンスに変える「攻めの投資」こそが、今の日本や世界に求められている戦略ではないかと強く感じます。
石炭は安価で安定したエネルギー源として、長い間私たちの社会を支えてきた功労者であることに疑いの余地はありません。それでも、これからの30年でその役割を劇的に変化させ、地球に優しい形へと昇華させることが、現代を生きる私たちの世代に課せられた最大のミッションなのではないでしょうか。
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