30年以上の長きにわたり、日本の音楽シーンを牽引し続けるバンド「SING LIKE TALKING」。その中心人物である佐藤竹善さんが、ソロ活動のライフワークとして取り組むカバー企画において、新たな金字塔を打ち立てました。1994年という、まだ「カバー」という手法が一般的ではなかった時代から、彼は古今東西の名曲に新たな命を吹き込み続けています。
2019年11月23日現在、大きな注目を集めているのが、最新作「Don’t Stop Me Now ~Cornerstones EP~」のリリースです。自らの音楽的礎を意味する「Cornerstones」シリーズは、足かけ25年に及ぶ彼の情熱の結晶と言えるでしょう。これまでにオーケストラやジャズトリオなど、作品ごとに異なる編成で音楽の深淵を探求してきた彼が、第7弾となる本作で選んだのは、初挑戦となるビッグバンド形式でした。
SNS上では「竹善さんの圧倒的な歌唱力とビッグバンドの迫力が合わさるなんて最強すぎる」「クイーンの名曲がどう生まれ変わるのか楽しみで仕方ない」といった期待の声が溢れています。ビッグバンドとは、サックスやトランペットなどの管楽器を主体とした大人数のアンサンブルを指し、その音圧と華やかさは圧巻です。佐藤さんは、ロックやポップスの親しみやすさに、この編成特有のパワーを融合させることに心血を注ぎました。
ジャンルの垣根を超える「ポップシンガー」としての飽くなき実験
今作にはクイーンの表題曲に加え、スティーヴィー・ワンダーの「Do I Do」など、珠玉の5曲が収録されています。レコーディングにおいて佐藤さんは、メロディーの美しさを際立たせつつ、ダイナミックな抑揚をつけることに腐心したそうです。それは、単なる模倣ではなく、曲の本質を捉えた上での「再構築」に他なりません。音楽メディアの視点から見ても、これほど贅沢で挑戦的なカバー作品は稀有な存在だと感じます。
「ビッグバンドの魅力である一体感や迫力は、生演奏でこそ真価を発揮する」と語る彼は、2019年11月24日および12月末に、東京と大阪での公演を控えています。今年の挑戦の集大成を見せたいと意気込む姿からは、ベテランとしての余裕よりも、未知の音楽に触れる高揚感が伝わってきます。大衆に迎合するのではなく、自分自身が感動した音楽の種を丁寧に育てる姿勢こそが、彼の音楽が色褪せない理由なのでしょう。
佐藤さんがカバーに心血を注ぐ理由は、自らを「ポップシンガー」と定義しているからです。あらゆるジャンルの分かりやすいエッセンスを抽出し、広めていくのがポップスの役割であると彼は説きます。特定の枠に収まらず、多様な音楽と繋がろうとするその姿勢は、まさに音楽の冒険家です。自分の趣向や趣味の範囲で実験を楽しみ続ける彼の旅は、これからも私たちを驚かせてくれるに違いありません。
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