電気自動車(EV)のさらなる普及と性能向上に不可欠な、革新的な技術が登場しました。電子部品大手TDKが、EVなどに搭載されるバッテリーの充放電量を極めて正確に測定できる、画期的なバッテリーモニタリングセンサーを開発したのです。この新センサーは、従来のシステムと比較して体積をなんと5分の1以下にまで大幅に小型化できるため、EVの心臓部であるバッテリー周りのシステム全体を格段に軽量化することを可能にします。
この小型・軽量化は、単に部品が小さくなるという以上の大きなメリットをもたらします。EVの航続距離延長に貢献するだけでなく、車載機器の設計自由度を大幅に高めることになるでしょう。自動車メーカーの設計担当者が「これは期待できる」と声を上げるのが、この「CUR423x」シリーズのモニタリングセンサーです。高い精度で磁気の変化を読み取り、バッテリーから流れる電流量を正確に測定する能力を持っています。
この新技術の核となっているのは、TDKが得意とする高感度の磁気センサー「TMR素子」の活用です。「TMR」とは「トンネル磁気抵抗効果」の略で、非常に微弱な磁気の変化を高感度に検出できる技術であり、ハードディスクドライブ(HDD)の読み取りヘッドにも応用されてきました。この高い技術的なハードルをクリアし、量産化を実現できたのは、世界でもTDKを含めたごく一部の企業に限られています。
新センサーが革新的なのは、電流測定の際に、従来必須とされてきた「コア」と呼ばれるリング状の磁性材料を必要としない点です。これまでのシステムでは、EVの出力が高まり大電流に対応するためには、このコアも大きくせざるを得ず、それが車の燃費や設計の制約になっていました。コアが不要になったことで、電流ケーブルの付近に設置するだけで大電流を正確に測定でき、EVの高出力化にも柔軟に対応できるのが大きな強みです。TDKの担当者は、「新センサーがEV開発のさまざまな課題解決に貢献できる」と自信を示しています。
このモニタリングセンサーは、2019年10月から12月にかけてサンプル出荷が開始され、2021年ごろの量産化を目指している状況です。昨今の自動車業界は、環境規制の厳格化と省エネへの要求がますます高まっており、電動車、特にEVの市場は今後急速に拡大していくことが確実視されています。
TDKにとって、センサー事業は成長戦略の柱の一つです。今回の新製品は、2016年に買収したスイスのセンサー会社ミクロナスが持つ車載電流センサーの技術と、TDKのTMR素子技術を融合させて開発されました。買収した海外企業との技術連携を深め、車載機器などの成長市場の開拓を加速させているのです。TDKは2021年3月期にセンサー事業で売上高2,000億円規模を目指す中期経営計画を掲げており、その実現には、このような革新的な製品の市場投入が不可欠でしょう。
SNS上では、「この小型化はすごい」「EVの設計が変わるかも」「日本の技術力に期待」といった、技術革新に対する驚きと期待の声が多く見受けられます。自動車の電費(燃費に相当)を改善し、より遠くまで走れるEVを実現するこの技術は、未来のモビリティを形作る重要な要素の一つになると、私は確信しています。TDKの長年にわたる技術の蓄積と、M&Aによるシナジー効果が、自動車業界の新たな進化を後押しするでしょう。
コメント