私たちの地球が直面している危機について、国連環境計画(UNEP)が2019年11月26日に衝撃的な報告書を公表しました。産業革命以前からの気温上昇を1.5度以内に抑えるという目標を達成するためには、2020年から2030年までの期間、毎年7.6%もの温暖化ガス排出量を削減し続けなければなりません。
現在、世界各国が掲げている削減目標をすべて達成したとしても、残念ながら気温は3.2度も上昇してしまうという厳しい予測が立てられています。1.5度目標は、極端な気象変動や生態系の崩壊を食い止めるための「防衛線」とも言える数値であり、このままでは地球の未来に暗い影を落としかねません。
SNS上では「毎年7.6%減なんて、これまでの生活を根本から変えないと無理だ」「経済発展を優先してきたツケが回ってきた」といった驚きや不安の声が広がっています。一方で、若者世代を中心に「今動かなければ未来はない」と、政治や企業へ対策強化を求める声が急速に高まっているのも事実です。
過去最高の排出量と迫りくるタイムリミット
2018年の世界全体における温暖化ガス排出量は、過去最高の553億トンを記録してしまいました。この10年間、排出量は平均して毎年1.5%ずつ増加し続けており、UNEPのアンダーセン事務局長は「先延ばしにしてきた時間を取り戻す必要がある」と、強い危機感をもって世界に訴えかけています。
ここで言う「温暖化ガス」とは、主に二酸化炭素(CO2)やメタンなど、太陽からの熱を地球に閉じ込めてしまう気体のことです。これらが増えすぎることで、私たちが経験したことのないような猛暑や巨大台風といった気候変動が引き起こされる要因となっているのは、もはや否定できない事実でしょう。
報告書が示すデータによれば、2度未満という目標に抑えるだけでも150億トンの削減が必要ですが、より理想的な1.5度を目指すなら320億トンもの削減が求められます。これは、現在の排出量の半分以上をカットしなければならないという、まさに文明の転換点とも呼べる壮大なプロジェクトなのです。
不可能を可能にする投資と技術革新の必要性
しかし、国連は決して絶望だけを語っているわけではありません。1.5度目標の達成は極めて険しい道のりではあるものの、決して不可能ではないと結論づけています。鍵を握るのは、太陽光や風力といった再生可能エネルギーへの大胆なシフトと、徹底した省エネルギーの推進です。
また、私たちが暮らすビルや住宅、そして移動手段である運輸部門において、ガソリンや石炭を直接燃やすのではなく、電気への切り替えを加速させることが不可欠です。2020年から2050年にかけて、毎年最大で3.8兆ドルもの投資が必要と試算されていますが、これは未来への必要経費と言えるでしょう。
私自身の見解としても、この投資を「負担」と捉えるのではなく、グリーン経済という新しい市場への「チャンス」と捉えるべきだと考えます。目先の利益に固執して対策を遅らせれば、将来的に私たちが支払う災害対策や復興のコストは、この投資額をはるかに上回る膨大なものになるはずです。
2019年12月2日からマドリードで開幕するCOP25(第25回国連気候変動枠組み条約締約国会議)では、各国がどこまで本気で目標を引き上げられるかが試されます。パリ協定という国際的な約束を果たすために、私たち一人ひとりもまた、ライフスタイルの見直しを迫られているのではないでしょうか。
コメント