日本フードサービス協会が2019年11月25日に公開した最新のデータによると、10月の外食売上高は全店ベースで前年比2.4%減少という結果になりました。これは3カ月ぶりにマイナスへと転じた形であり、業界全体に冷たい風が吹き荒れています。記録的な大雨をもたらした台風19号の直撃や、10月からの消費増税という大きな環境の変化が、消費者の足を遠ざける要因となったのは間違いありません。
全業態で共通して見られたのが、深刻な客数の減少です。全体では前年同月を5.4%も下回っており、特に連休中の休業を余儀なくされた店舗が多かったことが響いています。SNS上では「せっかくの休みなのに、お目当ての店が閉まっていて残念」といった声や、「増税で少し外食を控えるようになった」というリアルな反応が目立ちました。家計の防衛意識がこれまで以上に高まっている様子がうかがえます。
唯一の希望?ファストフードが見せた驚異の粘り
そんな苦境の中で、唯一のプラス成長を維持したのが「ファストフード」です。売上高は0.6%の微増を記録しており、他の業態が苦戦する中でその存在感を示しました。興味深いのは、客数自体は4.2%減少している点でしょう。それにもかかわらず増収を確保できたのは、客単価が5%も上昇したためです。これは、「軽減税率」によるテイクアウト需要をうまく取り込んだ結果だと言えるかもしれません。
軽減税率とは、増税後も一部の品目の消費税を8%に据え置く制度のことで、外食では持ち帰りが対象となります。ファストフード店はこの仕組みを武器に、季節商品の前倒し投入や魅力的なキャンペーンを次々と展開しました。特に和風ジャンルでは客数の落ち込みをわずか0.2%に抑えており、時代のニーズに即した戦略が功を奏した形です。スピード感のある経営判断が、明暗を分ける鍵となりました。
ファミリーレストランと居酒屋を襲う厳しい現実
対照的に、厳しい現実を突きつけられたのがファミリーレストラン業界です。売上高は5.3%減と大きく沈み、客数に至っては7.3%も減少してしまいました。客単価は上がっているものの、台風による休業と増税の影響を打ち消すには至りませんでした。特に客単価が比較的高めの設定である店舗ほど、消費者の「節約の矛先」になりやすかったようです。週末の団らんの場が奪われた影響は計り知れません。
さらに深刻な状況にあるのが、6.5%の減収となったパブ・居酒屋業態でしょう。ラグビーワールドカップの開催により、スポーツバーなどの「パブ」には活気が見られましたが、それ以上に「居酒屋」の不振が重くのしかかりました。競合他社との激しい争いの中で、安易に客単価を上げられない構造的な悩みも透けて見えます。夜の街を歩く人々が目に見えて減っている事実は、業界にとって非常に重い課題です。
私個人の見解としては、今回のデータは単なる災害の影響だけでなく、消費構造の大きな転換点を示していると感じます。手軽に楽しめるファストフードが強さを見せる一方で、中価格帯以上の店には「わざわざ足を運ぶ価値」がより厳格に求められるようになるでしょう。厳しい状況ではありますが、この逆境を乗り越えるための新たなサービスや、感動を呼ぶ体験価値の提供に期待したいところです。
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