2019年11月27日、菅義偉官房長官は記者会見において、50代の日本人男性が中国当局によって拘束されている事実を公式に認めました。この事案は2019年7月に中国の湖南省長沙市で発生したもので、男性は現地で国内法に違反した疑いをかけられています。突然の報せに対し、SNS上では「またか」「ビジネスで行くのも怖くなる」といった、中国当局の厳しい監視体制に対する不安や困惑の声が相次いで寄せられています。
日本外務省の発表によれば、男性は現在も身柄を確保された状態にありますが、健康状態に特段の不安はないと伝えられています。政府は領事面会を通じた安全確認や家族との連絡支援など、邦人保護の観点から最大限のバックアップを行っている最中です。一方、中国外務省の耿爽副報道局長は同日の会見で、本件について国家安全部門が法に基づき厳格に対応していると述べ、他国の介入を牽制するかのような姿勢を崩していません。
強化される取り締まりと「国家安全法」の真実
今回のような事案が頻発する背景には、中国が2015年頃から施行している「国家安全法」や「反スパイ法」の存在が深く関わっています。これらは国家の安全を脅かすと判断された行為を厳しく罰する法律ですが、何が「機密」に該当するかの基準が非常に曖昧であるという特徴を持っています。そのため、私たちからすれば日常的な情報収集や写真撮影、あるいは学術調査であっても、当局のさじ加減一つで犯罪とみなされるリスクを孕んでいるのです。
実際に2015年以降、少なくとも9人の日本人が起訴されており、ビジネスマンや研究者もその標的となっています。直近の2019年9月には北海道大学の教授が拘束され、同年11月に解放されたばかりでした。さらに、同年10月には伊藤忠商事の社員に対し、懲役3年と財産没収という厳しい実刑判決が下されています。こうした一連の流れは、中国に拠点を置く日系企業や旅行者にとって、決して他人事ではない深刻な脅威と言えるでしょう。
編集部としては、中国側の法執行の不透明さには強い懸念を抱かざるを得ません。友好関係を維持しつつも、自国民の安全が恣意的な判断で脅かされる現状に対しては、日本政府も毅然とした態度で情報の開示を求めるべきではないでしょうか。現地の法律を尊重することは当然ですが、同時に国際的な人権基準に照らし合わせた公正なプロセスが保証されることを切に願います。渡航を予定されている方は、細心の注意を払う必要があるでしょう。
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