福井県の経済を支える二大巨頭、福井銀行と福邦銀行が、新たな一歩を踏み出します。両行は2019年11月29日、深刻な人手不足に悩む地元企業を支援するため、人材紹介事業に参入することを正式に発表しました。この新機軸のサービスは、2019年12月02日からいよいよ開始される予定です。
福井県内では現在、有効求人倍率が高止まりしており、企業にとって「人」の確保は最優先の課題となっています。有効求人倍率とは、仕事を探している人1人に対して、何件の求人があるかを示す指標です。この数値が高いことは、企業側が深刻な採用難に直面していることを物語っており、地域の持続的な成長を阻む大きな壁となっています。
今回の参入は、単なる労働力の提供ではありません。企業が次世代へ事業を繋ぐための「事業承継」に携わる後継者候補や、新しいビジネスを切り拓くための「専門技術者」といった高度人材の確保が主眼に置かれています。SNS上では「地銀が本気で後継者探しに動いてくれるのは心強い」といった、地元経営者からの期待の声が広がっています。
興味深いのは、包括連携を進める両行が、あえて求職者の情報を共有せずに業務をスタートさせる点でしょう。それぞれの顧客ニーズに寄り添いながら、2020年03月までには共同セミナーや交流会を計画しています。金融機関が持つ深い信頼関係を武器に、企業とプロフェッショナルを繋ぐ架け橋としての役割が、今まさに求められているのです。
コンサルティング機能の強化と外部パートナーとの連携
銀行がなぜ「人材」に注力するのでしょうか。それは、従来の融資業務だけでなく、企業の経営課題を根本から解決する「コンサルティング機能」の強化が不可欠だからです。2019年11月01日に許可を得た両行は、それぞれ強力な専門会社とタッグを組み、独自のネットワークで質の高いマッチングを目指す構えを見せています。
福井銀行は、都市部の人材に強い日本人材機構やヒューレックスと連携。一方で福邦銀行は、大手パーソルキャリアをパートナーに選びました。福井銀行の米村学氏は「顧客層が重ならないため、営業上の衝突は起きない」と自信を覗かせます。まずは年10件程度の確実な成約を目指し、着実にノウハウを蓄積していく方針です。
北陸エリアでは、2019年07月に北陸銀行が先行して参入しており、富山銀行も来春の参入を控えるなど、地銀による人材ビジネスは大きな潮流となっています。私は、この動きこそが地域金融機関の「新しい正義」だと考えます。お金を貸すだけでなく、最も重要な経営資源である「人」を届けることこそが、地方創生の核心ではないでしょうか。
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