伝統の技が光る!市川工業高校インテリア科が「市工彫」で紡ぐ世界に一つだけの木製チェア

2019年11月18日、千葉県市川市にある市川工業高校の教室では、木の温もりに包まれた創作活動が熱を帯びています。インテリア科2年生の小川柚仁さんが取り組んでいるのは、子ども用の椅子を彩る繊細な装飾作業です。彼が挑戦しているのは、長野県の名産である「軽井沢彫」の技法をベースとして、同校が独自に進化させた「市工彫(いちこうぼり)」という特別な彫刻技術になります。

「軽井沢彫」とは、明治時代に避暑地を訪れた外国人向けの家具から発展した伝統技法で、精巧な草花の彫刻が大きな特徴です。そのスピリットを受け継いだ市工彫は、生徒たちの手によって一つひとつの木材に新たな命を吹き込みます。SNS上でも「高校生がこれほど高精度な職人技を磨いているなんて驚きだ」「手仕事の温かみが伝わってくる」といった称賛の声が数多く寄せられており、若きクリエイターへの期待が高まっているのです。

今回の制作で特に注目すべきポイントは、椅子の背もたれに刻まれる「桜」の意匠でしょう。桜の花びらを立体的に描き出すためには、木の表面をただ削るのではなく、滑らかな曲線を意識して丁寧に彫り起こす必要があります。小川さんは彫刻刀を握る手に全神経を集中させていました。向きや角度がそれぞれ異なる複数の花を、大きさや形が均等になるよう調整しながら、ミリ単位の狂いも許されない緻密な作業が続いていきます。

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受け継がれる「市工彫」の誇りと編集者の眼差し

専門的な視点から見ると、木材という天然素材を相手に均一な美しさを保つのは非常に高度な技術です。木の密度や木目の流れによって刃の通り方は変わるため、機械では決して真似できない職人的な勘が求められるからでしょう。小川さんが見せる慎重な筆致ならぬ「刀致」からは、単なる授業の一環を超えた、一人の表現者としてのプライドがひしひしと感じられます。

私自身の意見としては、こうした「手触りのある教育」こそが、デジタルの時代において最も価値を持つのではないかと確信しています。0.1ミリの角度にこだわり、桜の花びら一枚に真心を込める経験は、将来どのような道に進んでも揺るぎない自信に繋がるはずです。大量生産品にはない、使い手への愛情が込められた市工彫の椅子が、誰かの宝物になる日はもうすぐそこまで来ています。

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