現代アートや限定スニーカーが資産に?若者が「実物資産投資」に熱中する納得の理由とは

銀行に預金をしていても、スズメの涙ほどの利息しか手にできない超低金利時代が続いています。そんな厳しい運用環境の中、今、若者を中心に「投資」の概念が劇的に変化していることをご存じでしょうか。単にお金を増やすだけでなく、自分の感性や趣味を大切にする新しい資産形成の姿が見えてきました。

2019年12月03日、世間の注目を集めているのは、株式や債券といった目に見えない金融資産ではなく、手元に置いて愛でることができる「実物資産」への投資です。実物資産とは、貴金属や不動産、あるいは絵画や時計のように、それ自体が物質的な価値を持つ資産を指します。最近では、この対象が現代アートやスニーカーにまで広がっているのです。

SNS上では「好きなものに囲まれて、ついでにお金が増えたら最高」「株価チャートを見るより、お気に入りの一足を見ている方が幸せ」といった声が溢れています。こうした心理の背景には、経済成長の果実を実感しにくい現代において、日々の生活に彩りを与える「手元の満足感」を重視する傾向が強まっていることが挙げられるでしょう。

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現代アート投資で若手作家の成長を支える喜び

東京都に住む33歳の小松隼也さんは、2019年時点で約2000万円を現代アートに投じています。保有する70点の中には、購入時から10倍以上の値がついた作品もあるそうです。しかし、彼の目的は単なる転売益ではありません。「作家の成長を見届けるのが楽しみ」と語る通り、趣味と実益が高度に融合しています。

現代アートの世界では、20代から40代の若手作家を支援するファン層が厚くなっており、購入単価も10万円から30万円ほどが主流です。もちろん、アーティストの才能が開花しなければ資産価値がゼロになる恐れもありますが、それを差し引いても「宝探し」のようなワクワク感が投資家を惹きつけてやみません。

スニーカーやウイスキーが「化ける」市場の熱狂

より身近なところでは、限定スニーカーの取引が過熱しています。2019年05月に定価1万7280円で発売されたナイキのコラボモデルが、二次流通市場では18万円で取引されるケースも珍しくありません。25歳から35歳の層が中心となって、まるでプロのトレーダーのように売買を楽しんでいます。

他にも「液体ダイヤモンド」と称されるウイスキーへの投資も盛んです。特にジャパニーズウイスキーは世界的な需要過多により価格が高騰しており、蒸留所の樽を所有する権利を購入する仕組みまで登場しました。熟成を待つ時間の長さがそのまま希少価値に繋がるという、まさに「待つ楽しみ」がある投資と言えます。

私は、こうした動きは非常に人間らしい選択だと感じます。数字だけを追い求める投資は、時に心を疲弊させますが、自分の好きなものを信じて投資することは、人生の質を高めることに直結します。将来への不安を、現物を持つという「安心感」でカバーする戦略は、現代を生き抜く知恵なのかもしれません。

心の豊かさを金銭に還元する新しい幸福論

かつて哲学者ショーペンハウアーは「金銭は抽象的な幸福である」と述べました。しかし、令和を目前にした今の若者たちは、抽象的な数字ではなく、美しい絵画や精巧なスニーカーといった「具体的な幸福」を資産に変えています。金投資が20代から30代に再燃しているのも、その象徴的な現象です。

田中貴金属工業によれば、2019年09月の純金積立の申込数は前年の2.7倍に急増しました。月々3000円から始められる手軽さに加え、「最悪、価値が下がっても金というモノが残る」という心理的障壁の低さが、デジタルネイティブな若者の心を掴んでいるのは非常に興味深いパラドックスです。

不確実な未来に備えることは大切ですが、今この瞬間の満足を犠牲にしすぎるのも寂しいものです。趣味を資産に変える「実物資産投資」は、経済的な豊かさと精神的な潤いを両立させる、これからの時代のスタンダードになっていくに違いありません。

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