災害列島・日本を守る最適解とは?「八ツ場ダム」効果と公共事業の未来を編集部が徹底考察

2019年も終盤に差し掛かりましたが、本年は台風の猛威が全国を襲い、日本が「災害列島」であることを改めて突きつけられた1年となりました。こうした未曾有の事態を受け、政界では「国土強靭化」というスローガンのもと、公共事業予算を大幅に増やすべきだという議論が熱を帯びています。

人命を守るためのインフラ整備は、私たちの生活において極めて重要な土台です。しかし、十分な検証が行われないまま予算だけが膨れ上がる「無計画な膨張」については、慎重に見極める必要があるでしょう。2019年10月21日に開催された自民党の対策会議では、ハード面の対策を支持する声が相次ぎました。

特に注目を集めたのは、かつて旧民主党政権下で「コンクリートから人へ」の象徴として建設中止の是非が問われた、群馬県の「八ツ場ダム」です。2019年10月の台風19号の際、試験貯水中だったこのダムが満水に近い状態まで水を食い止めた光景は、SNS上でも「ダムの底力がすごい」と大きな話題を呼びました。

国土交通省の発表によれば、八ツ場ダムを含むダム群の効果により、利根川の水位を約1メートル低下させたと試算されています。これに対しネット上では、「やはりダムは必要だ」という安堵の声が広がる一方で、専門家からは「ダム建設よりも、川底を掘り下げる掘削作業の方が低コストで効果が高い」という冷静な指摘も出ています。

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インフラ整備の優先順位と未来への責任

ここで言う「掘削(くっさく)」とは、川底に溜まった土砂を削り取り、川が流せる水の量を増やす作業を指します。一部の推計では、この掘削を計画通り進めていれば、ダム以上の水位低下が可能だったという意見もあり、治水対策の「正解」がどこにあるのか、議論は平行線を辿っている状況です。

私は、感情的な「ダム推進・反対」の二元論から脱却すべきだと考えます。現在の日本は、国と地方を合わせた借金が国内総生産の2倍という厳しい財政状況にあります。限りある予算をどこに投じるべきか、平時の今こそ、冷徹なまでに客観的なデータに基づいた優先順位付けが求められているはずです。

財務省は「日本のインフラはほぼ完成している」と主張しますが、激甚化する気象災害を前に、過去の基準は通用しなくなっています。2018年11月に示された推計では、今後30年間の維持管理費だけで約195兆円が必要とされており、新しいものを作るだけでなく、今あるものをどう守るかも大きな課題です。

「何を作るか」と同じくらい「どう維持するか」を考えることが、次世代への責任ではないでしょうか。SNSでも「自分の街の堤防は大丈夫か」という切実な声が溢れています。私たちは、ただ予算を増やすのではなく、最も効率的に命を救える選択肢を、政治に厳しく求めていく必要があります。

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