変化の激しい現代ビジネスにおいて、市場の覇権を握るためのキーワードは「デジタルトランスフォーメーション(DX)」に他なりません。多くの企業がこの変革を掲げていますが、その成功を左右するのは、爆発的に増え続ける多種多様なデータをいかにしてビジネスの価値へと変換できるかという一点に集約されるでしょう。
まさに、次世代経営の主役は「データ」そのものであるといえます。この主役を最大限に輝かせるためには、組織の在り方や人材育成、そしてそれらを支えるインフラ基盤の3領域をバランス良く進化させなければなりません。今回は、多くの企業が頭を悩ませている「システムインフラ基盤」を成功に導くための要諦を紐解いていきます。
SNS上では「IT投資をしたものの、結局現場で使われていない」といった嘆きの声が散見されます。単なるプラットフォームの導入という「形」だけで終わらせないためには、戦略的な視点が不可欠です。デロイト トーマツ グループの田中正士氏は、2019年12月04日時点で、データ活用を真の経営改革につなげるための3つの重要要素を提唱しています。
データの鮮度と柔軟な連携がビジネスを加速させる
第一のポイントは、データの統合と蓄積の精度です。あらゆるモノがインターネットにつながる「IoT(モノのインターネット)」の普及により、収集されるデータの型は複雑化し、量も膨大になっています。ここで注意すべきは、データの「鮮度」です。数秒の遅延(レイテンシー)で価値が失われる情報もあるため、用途に応じた最適なシステム構築が求められます。
ただし、新しいデータが登場するたびに場当たり的にシステムを増設してはいけません。システムが乱立すると、データの流れが不透明になり、処理の仕組みが外部から見えない「ブラックボックス化」を招く恐れがあるからです。全体的な柔軟性を保ちつつ、データの取り込みロジックをシンプルに保つことが、長期的な運用の鍵となるでしょう。
個人的な見解を述べれば、DXとは単なる「IT化」ではなく、企業の「新陳代謝」を上げることだと考えます。古い慣習に基づいた複雑なシステムを放置したままでは、最新のテクノロジーを導入しても、その真価は発揮されません。まずはデータの「交通整理」を行い、スムーズに流れる環境を整えることが、攻めの経営への第一歩ではないでしょうか。
信頼できるデータが「誰でも使える」環境へ
第二に重要なのが、データの品質を守る「データガバナンス(統制管理)」です。活用できないゴミデータが混じっていては、正しい意思決定は望めません。重複の排除や品質改善を行い、信頼度の高い「綺麗なデータ」を整理整頓して管理することが不可欠です。誰がどこを見ても同じ意味として理解できるよう、定義を一元化し、カタログ化する必要があります。
そして第三の要素こそが、特別なスキルを持たない現場の社員でもデータを自由に扱える「セルフサービス化」の実現です。専門の分析官に頼ることなく、ビジネスの最前線にいるユーザーが自らデータを取得・分析し、その知見をシステムへ還元できる仕組みこそが、迅速で確度の高い経営判断を可能にするのです。
インフラ構築の成功への近道は、まず「理想のあるべき姿」を明確に描くことだと言えます。2019年12月04日現在、テクノロジーの進化は目覚ましいものがありますが、それを使いこなすためのノウハウやスキルをどう補完していくかが問われています。理想のビジョンと現状のギャップを体系的に把握し、一歩ずつ変革を進めていきましょう。
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