中国での邦人拘束が相次ぐ現状と「領事面会」の権利とは?不透明な容疑から身を守る国際ルールの実態

中国で日本人がスパイ活動に関与した疑いなどにより、当局に拘束される事案が後を絶ちません。2019年12月03日の参院外交防衛委員会にて、外務省の水嶋光一領事局長は、これまでに中国側で拘束が確認された邦人は15名に上ることを明らかにしました。そのうち10名がいまだ帰国できていないという衝撃的な数字に、SNS上では「明日は我が身かもしれない」「あまりにもリスクが高すぎる」といった不安の声が急速に広がっています。

直近でも、2019年07月に湖南省長沙市で50歳代の日本人男性が拘束されていたことが判明したばかりです。また、09月には北海道大学の教授が拘束され、11月にようやく解放されるといった、一線で活躍する専門家さえも標的となる事態が続いています。中国では「反スパイ法」や「国家安全法」が施行されており、外国人による情報収集への取り締まりが急激に強化されているのが現状です。

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国際条約が守る「領事面会」という最後の砦

たとえ異国の地で身柄を拘束されたとしても、私たちには国際法で認められた権利が存在します。その中心となるのが、1963年に採択された「領事関係に関するウィーン条約」です。この条約は、逮捕された外国人の要請があれば、本国の領事機関(大使館や総領事館)へ遅滞なく通報し、領事官が本人と面会や文通を行う権利を保障しています。世界約180カ国が締結しており、日本は1983年に、中国も1979年に加盟済みです。

「領事面会(りょうじめんかい)」とは、現地の日本大使館員らが拘束場所に赴き、本人の健康状態の確認や不当な扱いの有無をチェックし、家族との連絡を支援する重要な制度です。2018年に日本で逮捕されたカルロス・ゴーン被告の際も、国籍を持つフランスやブラジルなどの外交官が東京拘置所へ面会に訪れました。このように、どの国籍であっても外交ルートを通じて個人の人権を守ることが、文明社会の国際ルールとされています。

日本と中国の間では、さらに踏み込んだ「日中領事協定」が2008年に結ばれました。通常のウィーン条約では本人の要請が必要ですが、この協定では本人の希望にかかわらず、拘束から4日以内に相手国へ通報することが義務付けられています。このルールがあるからこそ、日本政府は早期に事態を把握できるのです。しかし、通報を受けても詳細が不明なまま、邦人保護の観点から即時の公表を控えるケースも少なくありません。

不透明な司法手続きという大きな壁

国際ルールが存在する一方で、最大の問題は「なぜ拘束されたのか」という容疑の不透明さにあります。中国当局の発表は「国内法に違反した疑い」といった極めて抽象的なものが多く、具体的な証拠が示されないまま長期拘束が続く傾向にあります。2019年10月には、広東省広州市の裁判所が伊藤忠商事の社員に対し、実刑判決を言い渡しました。民間企業の正当な経済活動が、いつ「スパイ行為」と見なされるか分からない危うさがあります。

筆者の見解としては、こうした司法の不透明さは、国際社会における中国の信頼を著しく損なうものであると考えます。法治国家として明確な基準を示すべきであり、曖昧な容疑での拘束はビジネスや学術交流の萎縮を招くだけです。2019年12月下旬には安倍晋三首相の訪中が予定されていますが、首脳会談の場では、邦人の安全確保と司法プロセスの透明化を強く求めていくべきでしょう。国民の命と自由を守ることは、外交の最優先事項です。

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