福島県が誇る夏の至宝「モモ」が、今まさに世界を席巻しています。2019年12月05日、福島県は今年度の県産モモの輸出量が54.1トンに達したことを公表しました。これは2011年に発生した東日本大震災および原子力発電所の事故以降、過去最高の数値を叩き出したことになります。
前年度である2018年度の輸出量は32.4トンでしたが、今年度はそこから約6割も急増しました。震災前の2008年度に記録した過去最多の69.9トンという数字に、いよいよ手が届くところまで回復しています。かつては輸出先の9割を台湾が占めていましたが、現在は新たな市場が開拓されています。
SNS上では「福島の桃は世界一おいしいから納得の結果」「農家の方々の努力が実を結んで嬉しい」といった温かい声が溢れています。風評被害という高い壁を乗り越え、実力で勝負し続ける福島の姿に、多くの人々が心を打たれているのでしょう。編集部としても、この復活劇には胸が熱くなる思いです。
東南アジアの好みにマッチした「福島のモモ」の強み
今回の躍進を支えたのは、タイやマレーシアといった東南アジア諸国です。特にタイへの輸出量は36.5トンと群を抜いており、次いでマレーシア、インドネシア、カンボジア、シンガポールと続きます。実はこれらの地域では、日本で一般的な「柔らかい桃」よりも「果肉が硬い桃」が好まれる傾向にあります。
福島県産のモモは、糖度が高く甘みが強い一方で、しっかりとした歯ごたえを持つ品種が多いのが特徴です。現地の食文化において、この「カリッとした食感」と「濃厚な甘さ」の組み合わせが完璧にフィットしました。戦略的なPR活動が、現地のニーズと見事に合致した結果と言えるでしょう。
ここで注目したいのが、輸出促進における「マーケティング」の重要性です。単に美味しいものを作るだけでなく、輸出先の食習慣を徹底的に分析し、福島の個性を強みとして打ち出した県の判断は非常に理にかなっています。特定の国に依存せず、販路を多角化したことも安定した成長の鍵です。
日本国内でも、近年はあえて硬い状態で食べる楽しみ方が広まっていますが、それを世界基準のトレンドに押し上げた功績は大きいと感じます。震災から歩みを進め、再び「世界のフクシマ」としてブランドを確立しつつある今、さらなる輸出量の拡大に期待が膨らんで止みません。
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