紀陽銀行が挑むITコンサルの勝算!地銀の強みを生かしたDX支援の最前線

和歌山県を拠点とする紀陽銀行が、システムの構築や運用に特化したITコンサルティング事業へ本格的に参入しました。2019年4月1日に「コンサルティング営業室」を新設して以来、現場では専門知識を持つスタッフを次々と増員し、10月までには総勢11名体制を整えています。超低金利時代が続き、融資業務だけで収益を上げることが難しくなる中で、地方銀行が専門性を武器に新たなビジネスモデルを模索する動きが活発化しているのです。

SNS上では、この斬新な取り組みに対して「銀行がシステムの中身まで見てくれるのは心強い」「地銀のサバイバル術として非常に興味深い」といった期待の声が寄せられています。一般的な地銀が提供するコンサルティングといえば、事業承継やM&A(企業の合併・買収)が主流ですが、紀陽銀行はあえて競争の激しい分野を避け、自社が長年培ってきたITのノウハウを取引先に提供するという独自の戦略を打ち出しました。

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巨大なシステム子会社という「虎の子」の武器

紀陽銀行の最大の強みは、260名もの従業員を抱えるシステム子会社「紀陽情報システム」の存在です。多くの地方銀行がコスト削減のために他行とシステムを共同利用する中で、同行は独自のサービスを迅速に届けるため、自前でシステムを構築する道を選んできました。情報技術の専門集団を抱える地銀は全国的にも珍しく、この潤沢なIT人材こそが、取引先のデジタルトランスフォーメーションを支援する強力なエンジンとなっているわけです。

実際の現場では、IT事業者の選定方法や、提示された見積もりが適正かどうかを判断する「目利き」としての役割が期待されています。IT戦略室の大西徹室長は、多くの企業がシステム選定におけるコンペ(競争入札)のノウハウを持っていない現状を指摘されました。単なるIT専業の会社とは異なり、銀行として企業の財務や業務フローを深く理解しているからこそ、より実情に即した、地に足の着いたアドバイスが可能になるのでしょう。

2019年11月からは、和歌山県の食品卸会社である田辺米穀にて、具体的な支援がスタートしています。ここでは子会社のコンサルタントが直接足を運び、新しい受発注システムを導入するための企画書作りをサポートしているそうです。経営陣からは「業務を見直す絶好の機会だ」と歓迎されており、単なるシステム導入に留まらない、経営の根幹に踏み込んだ支援が行われている様子が伺えます。

地域経済の未来を支える新たな信頼関係の形

気になるコンサルティング料金は、3ヶ月間で100万円程度が目安とされており、2019年4月から10月にかけて早くも複数の成約に結びついています。原口裕之取締役常務執行役員も、決算の場で「システム分野のニーズは確実に伸びている」と手応えを語られました。専門用語を並べるだけの提案ではなく、経営の効率化というゴールに向けた具体的な道筋を示す姿勢が、多くの経営者の心をつかんでいるのではないでしょうか。

私は、この取り組みこそが地方銀行の「新しい当たり前」になると確信しています。これまでの銀行は「お金を貸す場所」でしたが、これからは「知恵を貸し、共に成長するパートナー」への脱皮が求められています。テクノロジーの進化が加速する現代において、地域の企業のデジタル化を一番近くで支える銀行の存在は、和歌山のみならず日本全体の地域経済を活性化させる鍵になるはずです。

ただし、学術界からも指摘がある通り、常に最新の技術動向をアップデートし続ける姿勢は欠かせません。AIやクラウドといった目まぐるしく変わるITの世界で、銀行がいかに情報の鮮度を保ち、顧客に寄り添い続けられるかが今後の成否を分けるでしょう。紀陽銀行が切り拓くこの挑戦が、停滞する地銀業界に一石を投じ、取引先企業の未来を明るく照らすことを切に願って止みません。

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